企業講演


①―1 「ヒトと人を結ぶライフサイエンスの総合人材サービス」

株式会社スタッフジャパン テクノサイエンス事業部長 宇梶純良氏

公的研究・教育機関への人材派遣に実績

Mr Ukaji from Staff Japan
株式会社スタッフジャパン テクノサイエンス事業部長 宇梶純良氏

株式会社スタッフジャパンは人材派遣や人材紹介、テレマーケティング等のアウトソーシングの会社で1984年に設立された。

テクノサイエンス事業部は「ヒトと人を結ぶライフサイエンスの総合人材サービス」をモットーに2001年に事業を開始。現在、東京オフィスのほかにつくば支店、大阪テクノサイエンス営業課、かずさオフィスを持ち、首都圏と関西圏で約300名の研究開発関連の人材を派遣している。

公的研究・教育機関への人材派遣が多く、理化学研究所には100名強を派遣しており、ほかに産業技術総合研究所、製品評価技術基盤機構、かずさDNA研究所、東京大学、筑波大学、大阪大学もクライアントである。ほかに東レ、キリンビール、島津製作所のような医薬品、化学、食品、電機などの大手企業の研究所、創薬・医療系ベンチャー企業、受託分析・試験等の専門企業にも人材を派遣している。

スタッフジャパンに就職して派遣されるユニークな制度が特徴

スタッフジャパンには、①タッフジャパンに就職したうえで派遣先に行く就職型派遣社員、②スタッフジャパンの正社員の転職紹介というユニークなシステムと、従来からの③登録型派遣社員という、全部で3つの派遣システムがある。

  • ●ケース1 【新卒入社(就職型派遣社員)→研究職正社員】

    大学・大学院卒業後、スタッフジャパンに入社し、理研や産総研などの先端研究機関で3~5年実務経験を積み、その後、中堅メーカーやバイオベンチャー企業に正社員として入社。

    労働者派遣法では、3年以上働いた人は所属機関で募集するときには優先的に採用の申し入れをするという努力義務があり、派遣先でそのまま就職する人も多い。

  • ●ケース2 【新卒入社(就職型派遣社員)→非研究職正社員】

    スタッフジャパンに入社後、研究所で派遣勤務。研究経験や就業経験を生かし、社内コーディネータや社外の産学官連携業務に従事。

    研究者としての経験を経て、別のキャリアを選びたい人もいる。サイエンスリテラシーのある専門家として、非研究職に就くパターン。

  • ●ケース3 【登録型派遣社員として計画的にスキルアップ】
    • ①バイオ関係の修士号を持ち、知財や研究のマネジメントを希望していたが、修士卒では正社員になれそうもなく、また実務経験もない。そこで、登録型派遣で公的研究機関の学術支援業務や共同研究のマネジメントを2年間経験し、コンサルティング会社に就職した。
    • ②社会人向けのコースでバイオインフォマティックスを勉強しているが、実務経験がないため、バイオインフォマティックス関連企業には就職しにくい。そこでまず2年間登録型派遣で実務を経験し、現在は研究機関でアムテーションの仕事をしている。

      登録型の派遣は目的と計画性を持ってスキルアップするのに向き、また、結婚や出産などに伴う勤務形態の選択もしやすい。

  • ●ケース4 【転職支援型キャリアアップ】

    社会人として3年以上の実務経験がある人は人材紹介部門に登録後に正社員として転職する。

  • ●ケース5 【紹介予定派遣】

    6ヵ月以内の派遣契約で“お見合い期間”を設け、その後派遣先企業に直接採用される。ベンチャー企業や中堅メーカーに多い。

博士号を持つ人の新しいキャリアパスづくりも視野に

スタッフジャパンでは、登録派遣でない、正規採用で理系人材を20名採用する予定にしている。

また、最近、「どうしても研究職に就きたい」と内定をもらってからも就職活動を続ける人の割合が増えている。そういう学生さんも募集している。

博士号を持つ人に対しても、大学・研究所の研究成果や技術を民間企業に橋渡しする、産学官連携コーディネータ、科学技術アドバイザー、特許流通アドバイザーなどとして、新しいキャリアパスのモデルを作りたい。現在、文部科学省の都市エリア産学官連携促進事業として、コーディネータの広域連携によるネットワークシステムの中で、キャリアパスの多様化・流動化を促す求人・求職システムの事業化を図る共同研究に参加している。実際、来年度から研修制度などが立ち上がる予定になっている。

①―2 「理工系人材のキャリアパス多様化とは?」

コラボ産学官 事務局長 江原秀敏氏

産学官の連携の鍵を握るコーディネータ

Mr Ehara from Staff Japan
コラボ産学官 事務局長 江原秀敏氏

産業界、大学などの研究・教育機関、行政は文化や考え方、やってきたことが全然違う。しかし、連携は必要で、産学官連携には膨大な資金が流れ込んでいる。

日本の研究の歴史から見ると、特別な地域であり、毎年膨大な資金が注がれている筑波産業学園都市から、産学官の連携で、果たして産業が生まれたか、という問いかけがある。産学官の連携の担い手であるコーディネータが鍵を握ると脚光を浴びている。

私は文科省都市エリア産学官連携促進事業・筑波研究学園都市エリア科学技術コーディネータであり、スタッフジャパンにビジネスパートナーとして共同事業に入ってもらっている。

私の場合、コーディネータと名前がつく肩書きもあれば、そうでないものもある。

独立行政法人科学技術振興機構が発行する月1回のウェブニュース「産学官連携ジャーナル」(40~50ページ)編集委員長はコーディネータ職から出てきた仕事で、産官学連携をわかりやすく伝え、コーディネータ職を身近に感じられるようにとスタートした。

コーディネータになるにはいろいろな仕事を経験しないとなれない。現在は企業の技術部長などが大学に入っているが、残念ながら、新しい現場の考え方、モチベーションは理解できず、摩擦や認識のギャップがあり、苦労している。

文科省都市エリア産学官連携促進事業は筑波大学と産総研を中心にすでに5年間続く事業で、年間2億円のプロジェクトである。最初に筑波大学の科学技術コーディネータとして参加したときに、「連携交流を進めてほしい。筑波大学と産総研のITグループはお互いに会ったことがないので、紹介してほしい」と頼まれた。これがコーディネータの仕事の実際である。

筑波研究学園都市では省庁間における研究者の交流もない。橋渡しには幅広い経験と産学官に対する認識が必要になる。

高い能力を持った即戦力の博士の育成が急務

コラボ産学官は地方大学が東京に出てくるときの支援をするところで、これをセットしたのは信用金庫のグループだった。仕掛け人は中央大学理工学部の出身者で、「信用金庫の未来は産学連携にある。中長期でリスクを取る信用金庫になろう」というのがポリシーだ。

産学連携で最後に必要なのはお金だが、現場にはお金のリテラシーを持っている人がいない。ベンチャー企業でも同じことで、即戦力の博士の育成が急務になっている。

それにはインターンシップだけではなく、産学官連携による新しい大学院教育もセットにして教育しなくてはならない。

また、本田光太郎博士の言葉「産業は学問の道場なり」にあるように、ベンチャーマインドも旺盛であってほしい。もちろん研究者としての実力とマネジメント力を兼ね備え、コミュニケーションスキル、リーダーシップ、幅広い教養も求められる。

文科省都市エリア産学官連携促進事業の共同研究の中では、コーディネータ人材となる人にいろいろな現場に入って経験を積んでもらいたい。また、スタッフジャパンには研究者の再配置事業で、キャリアパスの多様化に尽力していただくのを期待している。

みなさんにもコーディネータの現場に入っていただき、キャリア形成をしていただきたいと願っている。

② "Oak Associates - Your Career Ambassador"

Oak Associates presenters on stage
株式会社オークアソシエイツ プレゼンテーション風景
Oak Associates presenters on stage
ロールプレイングをしながらプレゼンテーション

株式会社オークアソシエイツ シニア・コンサルタント Aziz Sheikh氏
コンサルタント 山崎健一氏
コンサルタント Anne Milke氏

外資系企業がバイリンガルの人材を探す支援からスタート

オークアソシエイツは26年前に人材コンサルティングの会社としてスタートした。

当時はバイリンガルの人材を探す外資系企業が多く、オークアソシエイツにも求人が多く来た。そして、エグゼクティブ・キャリアのための別会社も設立した。

オークアソシエイツは外資系企業ではなく日本の企業で、本社は東京にあり、大阪に事務所があり、ヨーロッパにフランチャイズの支店がある。

ライフサイエンスやヘルスケア分野では、製薬、バイオテクノロジー、医療機器、CRO(治験支援機関)、診断、ラボのテクノロジー、ヘルスケアのコンサルタント、ベンチャーキャピタルをカバーしている。

(以降、30分間のステージドラマとして行われた講演を採録。山崎健一氏が新しい職を思案中の研究者役、Anne Milke氏がキャリアコンサルタント役、Aziz Sheikh氏が解説を担当)

転職を考えるときにはまず自分を客観視する

シーン①

山崎氏はERATOのプロジェクトの研究者として、毎日をラボで過ごす。転職を考えており、オークアソシエイツでどのようなサービスを受けられるかを体験しに来た。

迎えるのはキャリアコンサルタントのMilke氏。お互いに自己紹介をした後、山崎氏は化学や製薬を学び、いずれ研究室を出て、就職したいと話す。future goalを聞かれて、化学に関係した業種でお金を稼ぎたいと答えると、Milke氏はそれはキャリアではないと言う。

Sheikh氏:キャリアとジョブは大きく違う。ジョブは生活のためにする仕事で、キャリアはどんな勉強をして知識を得て、どんな経験をし、社会や会社のために何を提供できるか、今からの視点で見る仕事である。

シーン②

山崎氏が薬学を学び、ぜんそくの薬の開発に携わったことを言うと、もっと詳細に話すことが求められる。ガスクロマトログラフィーを扱い、ひとりで、ときにはチームで研究を続けてきたことを話すと、Milke氏にどうやってチームでコミュニケーションを取ってきたか、研究室には外国の研究者とコンタクトしたことがあるかどうかを尋ねられる。チームのメンバーにはいつも挨拶をすること、教授が国際会議に行ったときに台湾の共同研究者にメールを出したら、返事がなかった体験を伝える。

すると、Milke氏実務経験は申し分ないので、次回に実際に職を探す前に考えなければならないことがあると話す。

Sheikh氏:次のキャリアに進む前に、①研究の場で働き続けるのか、②どんな選択や興味、価値があるのか、③どのようなユニークなスキルや経験、能力があるのか、④モチベーションを保つために必要なものは何か、⑤会社や社会にどのように貢献できるか、⑥どこまでその仕事ができるのか、を考えるべきである。

履歴書と面接で自分を正直に表現し、意欲を見せる

山崎氏はもう一度同じような質問をされると、今度は薬学や毒性学を学び、チームで仕事をした経験があるなどと、詳細に受け答えをできるようになる。そして、研究者として外資系企業に務めたいこと、履歴書を書いたことを話す。

Milke氏は「履歴書はとても重要で、去年妹が結婚したというような記述は不要、5ページを2~3ページにまとめること」とアドバイスする。

Sheikh氏:履歴書は自分の鏡であり、求人先が最初に見る重要な書類である。スキルと経験、資格をきちんと書き、研究や仕事を時系列でまとめる。特別な業績、受けてきた教育やトレーニングも書くべきである。

そして、Milke氏は外資系企業で働きたいという山崎氏に英語の履歴書を用意する必要があり、その際にアドバイスすると言う。そして、面接の重要性を説明する。

山崎氏は面接の経験が一度あり、相手の面接官はなぜかいい印象を持っていなかったようだと話す。準備は履歴書を送る前にホームページを見たことだけだった。

Sheikh氏:面接には準備が必要で、①自分らしさを出し、今の状況や将来についても正直でいること、②自信を持ち、情熱的でかつポジティブでいること、③専門性を出すこと、④貢献できる部分を話すこと、⑤将来のキャリアの可能性について質問すること、⑥うまくコミュニケーションしつつ、しゃべりすぎないこと、を心がけるとよい。

Milke氏は面接では山崎氏が企業に質問することも大切だと言う。「面接はブラックボックスで何が起こるかわからない。自分自身を表現するチャンスで、貢献できることを話し、やる気を見せることが大切」と締めくくった。

山崎氏は「以前の面接では何も準備しなかったけれど、こうしてキャリアコンサルタントにアドバイスをもらうのも有益だ」と考えて、帰っていく。

Extra navigation

ADVERTISEMENT
ADVERTISEMENT