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2005年
RESEARCH HIGHLIGHT



Nature Physics  1, 8 (2005) | doi: 10.1038/nphys143

暗黒物質の探索

銀河はすべて暗黒物質の巨大なハローの中に埋まっていると広く考えられているが、楕円銀河の周辺で予想以上に遅く動く星が観察されて以来、これは疑問視されるようになった。Dekelらは今回、こういった低速度星が暗黒物質ハロー内の銀河形成モデルに当てはまることを示した(Nature 437 (707-710); 2005)。

写真
 
Thomas M. Brown(GSFC)ら。
NASA

2つの渦状銀河のガス円盤が融合するときに、楕円銀河が形成されると考えられている。渦状銀河には暗黒物質ハローが存在するため、そこから誕生する楕円銀河にもハローが存在するはずである。Dekelらは、そのような融合が生じた場合に何が起こるかを明らかにするために、数値シミュレーションを行った。その結果、星は重力の潮汐力によって本来の軌道から外れ、大きく伸びた外向きの軌道に移ることがわかった。これと速度マーカー、すなわち「トレーサー」の現実的な希少性とを組み合わせることにより、楕円銀河の中心から大きく離れた所では、シミュレーションがデータと一致することがわかった。銀河の端にある星は、大量の暗黒物質が存在しても、確かにゆっくり移動することができる。また、その速度は観測する視線によって、さらに小さく見える場合がある。


高圧水素中の既知の未知

土星内部では、巨大な圧力の下で金属水素が多量に存在する可能性があるが、地球でそのような極限状態を実現するのは困難である。Babaevらは、間もなく400GPaに達すると推定し、水素の2つの極限量子状態、すなわち金属超流体と超伝導超流動体をどのように検出するか思索している(Phys. Rev. Lett. 95, 105301; 2005)。

電子対の超流体は、3Heの場合のように簡単に検出できる。問題は陽子対である。これは電子クーパー対と共存し、通常の電気的計測では測定することができない。位相幾何学的理由から、著者らは2成分凝縮体について4つの実験を提案している。彼らは、ダイヤモンドアンビルセルに閉じ込められた試料にアクセスが制限されることを考慮したが、最も大きな障害はダイヤモンドアンビル自体にある。主な研究努力は技術面に注がれており、これらの圧力が日常的に得られるようになるまで、陽子のクーパー対を検出するという提案はお預けとなる。

写真
 
許可を得て引用。
版権APS 2005年

輪を描いた走行

バークレーの研究者たちは、リング状の磁気トラップ内にボーズ・アインシュタイン凝縮体を閉じ込めた(Phys. Rev. Lett.(印刷中);レプリント入手先 http://arxiv.org/cond-mat/0504749; 2005)。S. Guptaらは、外部磁場を巧みに操作することによって、数センチの大きさの貯蔵器内でルビジウム・ボーズ・アインシュタイン凝縮体を円運動させることができた。原子の速度にはばらつきがあるため、凝縮体は約1秒後にはトラップ内に拡散し、極低温原子の円形「ビーム」を形成する(写真)。

さらに技術開発と最適化を進める必要があるが、物質波干渉法やソリトンの永久伝搬のような非線形現象に関する研究、高精度のジャイロスコープの作製などに本技術を応用することが考えられる。


ナノテクのねじれ

Jannik C. Meyerらは、単壁カーボンナノチューブから小さなねじり振り子を作成した(Science 309(1539-1541);2005)。彼らは、光学顕微鏡で見ることができる数百ナノメートルの大きさの金属ブロックを単層ナノチューブに吊るし、電場をかけて、ナノチューブローターの周りで回転させた。電場を切ると、可動部は180度回転した場合でも平衡位置に戻った。

実際、振り子を振れさせるのに電場は必要ない。振り子をねじるのに必要な力は非常に小さいため、熱雑音によって生じる振動を視覚的に検出することすら可能である。このような高感度は、ナノスケールの電気機械装置あるいはセンサーに役立つ。

興味深いことに、ナノチューブのねじれによってその分子構造がある程度わかる。
ナノチューブは一般にキラル分子であるが、通常の電子回折では左手系と右手系のチューブを識別することができない。しかし、ねじれによって対称性が破れる。これは、ナノチューブの掌性を推定することができることを意味する。


そしてとうとう...

個別粒子の1種であるZボソンに関する数年間の研究を、1000人以上の著者リストと共にまとめた、300ページ以上に及ぶ論文が現在入手可能である(プレプリント入手先 http://arxiv.org/hep-ex/0509008; 2005)。

示されているデータは、ジュネーブのCERN(欧州合同原子核研究機構)にある大型電子陽電子衝突型加速器(LEP)で、1989年〜 2000年に行われた4つの実験(ALEPH、DELPHI、L3、OPAL)から集められたものであり、カリフォルニア州スタンフォード衝突型線形加速器(SLD)による実験で同じ時期に得られたデータで補足されている。LEPデータは、加速器内で電子と陽電子の消滅によって生成された1700万個のZボソンの崩壊測定データである。SLDのサンプル数は、分極衝突ビームを使用した極めて精妙な60万件である。

これら別々の実験のデータをすべて組み合わせたことはかなりの功績であり、最終サンプルは統計的検出力に関して十分価値がある。粒子物理学の標準模型によってすべて予言されたZボソンに関する多数のパラメーターは、前例がないほど正確に測定され、不確実性は最大1000分の1に減少した。

また、それは標準模型にとってよいニュースである。真に理論物理の傑作が、この最も厳しい試験に見事に合格した。


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