Practice Point

カテーテルアブレーション療法によって薬剤不応性心房細動患者の不整脈管理を改善できるか?

原論文

Stabile G et al. (2006) Catheter ablation treatment in patients with drug-refractory atrial fibrillation: a prospective, multi-centre, randomized, controlled study (Catheter Ablation For The Cure Of Atrial Fibrillation Study). Eur Heart J 27: 216–221

PRACTICE POINT(診療のポイント)

カテーテルアブレーションは、施行数の多い施設で経験を積んだ医師が実施する場合には、適切に選択された心房細動患者に対して有効な治療法である。

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SYNOPSIS(概要)

BACKGROUND(背景)

持続性心房細動(AF)患者に対する抗不整脈薬療法は、カテーテルアブレーション療法を補助的に実施することによって効果が増大する可能性があるが、AF薬物療法が奏効しない患者を対象としたカテーテルアブレーション療法について検討した過去の研究デザインには欠点があるため、さらなる検討が必要である。

OBJECTIVES(目的)

抗不整脈薬療法と併用したカテーテルアブレーションにより、薬物療法が奏効しなかった持続性または発作性AF患者の再発性AFを予防できるかどうかを検討すること。

DESIGN(デザイン)

この多施設共同無作為化対照試験では、少なくとも6カ月前に診断され、カテーテルアブレーションに紹介された一連の持続性または発作性AF患者を前向きに登録した。抗不整脈薬療法に不耐性を示した患者、または少なくとも2種類の抗不整脈薬療法が奏効しなかった患者を適格とした。除外基準は、恒久的AF、心房粗動または頻脈を原因とする持続性AF、およびウルフ・パーキンソン・ホワイト症候群とした。

INTERVENTION(介入)

適格患者をカテーテルアブレーション+抗不整脈薬療法群(アブレーション群)または抗不整脈薬療法単独群(対照群)のいずれかに無作為に割り付けた。不耐性を示す患者以外の全患者に対してアミオダロンを投与し、不耐性を示す患者にはIc群の抗不整脈薬を投与した。無作為化およびアブレーション後、妥当な場合には、全患者において、評価を行わない1カ月の空白期間を設けた。その後、各患者に配布した電送心電図計を用いて3カ月間毎日30秒間の心電図を記録した。全患者について、1、4、7、10、13カ月後にホルター心電図モニタリング、標準心電図検査、経胸壁超音波心エコー検査による評価を行い、アブレーション群の患者については、4カ月後に経食道超音波心エコー検査による評価も行った。すべての解析はintention-to-treatで実施した。

OUTCOME MEASURES(評価項目)

主要エンドポイントは、追跡期間中に30秒を超えて持続する心房性不整脈エピソードがみられないこととし、1カ月間の空白期間は含めなかった。

RESULTS(結果)

適格患者137例中68例に対してアブレーション+薬物療法を実施し、69例に対して薬物療法のみを実施した。1年間の追跡期間後、アブレーション群では、対照群と比べて再発性AFエピソードが有意に少なかった。1件以上のAFエピソードが認められた患者は、アブレーション群では30例(44.1%)、対照群では63例(91.3%)であった(P<0.001)。Cox比例ハザードモデルでは、アブレーション+抗不整脈薬療法の使用または薬物療法の単独使用が、AFの再発を予測する唯一の有意な因子であった(抗不整脈薬療法のハザード比3.2、95%信頼区間2.0~5.1)。注目すべきことに、両群間の入院日数中央値に有意差は認められなかった。

CONCLUSION(結論)

過去に抗不整脈薬療法が奏効しなかった持続性または発作性AF患者の再発AFエピソードを予防するうえで、アブレーション治療と抗不整脈薬療法の併用は、抗不整脈薬療法単独より優れていた。

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COMMENTARY(解説)

Stephen C Hammill

Haissaguerreらは、大部分のAFエピソードが、肺静脈起始部の心房筋から生じる異所性拍動によって開始され、このような病巣を除去することによりAFの再発を効果的に予防できることを示した1。カテーテルを用いるAF治療は急速に進歩しており、現在では、肺静脈病巣を切除または隔離するためのその他の線状病変の有無にかかわらず、肺静脈病巣周辺で全周性アブレーションを実施する解剖学的手法が用いられている。

では何故薬物療法によるAF治療を行わないのか? AFFIRM study2では、洞調律の維持を目的とした抗不整脈薬による調律管理を、AF中に心房を維持するための心室拍動の調節を目的とした房室結節遮断薬による心拍数管理と比較した。intention-to-treat解析では、両者について死亡率に関して同等の結果が得られたため、洞調律の回復は有用ではないという誤った考え方が導き出された。しかし、無作為化を無視した共変量解析では、洞調律は死亡率の47%の低下と、抗不整脈薬は死亡率の49%の上昇と関連していた。洞調律の維持は有益であったが、抗不整脈薬の有害作用がこの効果を打ち消していた。注目すべきことに、AFFIRMには、AF症状がほとんどない患者が登録されていた。しかし、多くの患者はその症状に耐えられないため、より効果的で安全な調律管理方法が求められている。

薬物療法またはアブレーションが施行された一連のAF患者1,171例を対象としたランドマーク研究では、アブレーションによって、抗不整脈薬療法と比べて生存とQOLが改善された3。抗不整脈薬療法単独と、抗不整脈薬療法とカテーテルアブレーションとの併用を比較したStabileらの本論文では、AF治療におけるカテーテルアブレーションの使用が支持されている。AFの再発は過去の報告より多く、介入後長期間にわたって継続した。しかし、本研究では、他の報告と同様に、この技術がAF関連の合併症率および死亡率に及ぼす影響についての洞察はほとんど示されていない。初期の研究では、抗不整脈薬治療を受けていないAF患者に対する第一選択療法としてのアブレーションが評価され、アブレーション療法を一歩前進させた4。1年後、アブレーション単独群の63%と薬物単独群の13%の患者において、AFの症状がみられなかった。しかし、研究対象とした患者集団は小さかった。

複数の研究により、選択されたAF患者では洞調律維持を目的としたカテーテルアブレーションの有効性が一貫して証明されている。アブレーションに関する主要な懸念事項は、治療患者の6%に発生する合併症リスクであり、これらのうちいくつかは重度である可能性がある5。80施設においてAF治療を目的とするアブレーションを受けた患者6,759例のレビューでは、施行経験(年間に80~850手技)と成功率(再発AFがみられなかった患者の割合が11~100%)に大きな開きがあり、合併症発生率も、肺静脈狭窄(0~11%)、脳卒中(0~10%)、タンポナーデを伴う心内膜液浸出(0~11%)とさまざまであった6

カテーテルアブレーションは、抗不整脈薬物療法が不成功であった症候性AF患者の治療法として、過去10年間にわたって支持を集めている。しかし、合併症の可能性を考慮し、この傾向を見直す必要がある。経験豊富な施設では、合併症の少ないより優れた結果が得られている。この治療法を評価した無作為化試験で、有望な結果を報告しているものが少ないため、AF患者の早期治療法として、アブレーションを抗不整脈薬療法と比較する大規模な無作為化試験の必要性が強調される。現在のところ、アブレーション療法が適している患者は、症候性発作性AFはみられるが、その他の点では正常な心臓を有し、1種類または2種類の抗不整脈薬が奏効しなかった患者である。

Acknowledgments

The synopsis was written by Hannah Camm, Associate Editor, Nature Clinical Practice.

References

  1. Haissaguerre M et al. (1998) Spontaneous initiation of atrial fibrillation by ectopic beats originating in the pulmonary veins. N Engl J Med 339: 659–666  | Article | PubMed | ISI | ChemPort |
  2. Corley SD et al. (2004) Relationship between sinus rhythm, treatment, and survival in the Atrial Fibrillation Follow-Up Investigation of Rhythm Management (AFFIRM) Study. Circulation 109: 1509–1513  | PubMed | ISI |
  3. Pappone C et al. (2003) Mortality, morbidity, and quality of life after circumferential pulmonary vein ablation for atrial fibrillation. J Am Coll Cardiol 42: 185–197  | Article | PubMed | ISI |
  4. Wazni OM et al. (2005) Radiofrequency ablation vs antiarrhythmic drugs as first line treatment of symptomatic atrial fibrillation. JAMA 293: 2634–2640  | Article | PubMed | ISI | ChemPort |
  5. Cappato R et al. (2005) Worldwide survey on the methods, efficacy, and safety of catheter ablation for human atrial fibrillation. Circulation 111: 1100–1105  | Article | PubMed | ISI |
  6. Jais P et al. (2004) European experience of atrial fibrillation ablation [abstract]. Heart Rhythm 1 (Suppl): S87 271

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