Practice Point

慢性腎疾患をどのように定義し分類すべきか?

原論文

Levey AS et al. (2005) Definition and classification of chronic kidney disease: A position statement from Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO). Kidney Int 67: 2089-2100

PRACTICE POINT(診療のポイント)

腎不全CKDのリスク患者には尿蛋白検査とGFR評価を実施すべきである。CKDは、アルブミン/クレアチニン比30mg/g以上、あるいはGFR60mL/分/1.73 m2未満で示される。

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SYNOPSIS(概要)

BACKGROUND(背景)

腎機能障害2002年の発表以来、慢性腎疾患(CKD)の定義と分類のためのK/DOQI診療ガイドラインは広く受け入れられているが、多少の議論もある。このようなガイドラインの作成と実施を促進することによってCKDの世界的な蔓延に取り組むため、国際的組織Kiney Disease: Improving Global Outcomes(KDIGO)が創設された。

OBJECTIVES(目的)

高齢者CDKの定義・分類のためのK/DOQIガイドラインを支持するエビデンスに関して、医療専門家の理解を深めること。これらのガイドラインを再検討し修正すること。ガイドラインの強化と利用の拡大に必要な研究を明らかにすること。

DESIGN(デザイン)

本2004年11月オランダのアムステルダムにおいて、一連の国際協議会の第1回会議がKDIGOにより開催された。KDIGOは協議事項を作成し、世界各国のCKD専門医を参加者として選定した。会議前には、K/DOQIの定義・分類法の当時の利用状況と意見を分析するために、25項目からなる調査書がKDIGOおよびその他の専門家によって作成された。調査書は英語から4カ国語に翻訳され、国際レベル、ヨーロッパ、スペイン、ラテンアメリカ、フランス、日本の各腎臓学会にEメールで送信された。2004年12月パリにおいて、この会議で提案された推奨事項はKDIGO理事会により承認された。

RESULTS(結果)

質問票を受け取った10,000人の腎疾患専門医のうち、1,190人(12%)から回答を得た。回答の解析により、K/DOQIによるCKDの定義・分類が広く利用されていることが確認されたが、回答者の約1/3はガイドラインに改善の余地があると感じていることが明らかになった。回答者の多くは糸球体濾過率(GFR)の推定式に基づいた推定値を採用していたが、大多数はGFR推定値だけではCKDの診断とモニタリングには不十分と考えていた。CKDの患者あるいはCKDのリスク患者におけるアルブミン尿評価は回答者のあいだではあまり用いられておらず、アルブミン測定・スポット尿採取よりも、総蛋白検査・蓄尿がより一般的に行われていた。会議に出席した6カ国の60人の腎疾患専門医は、世界共通のCKDの定義・分類法が必要であることに賛同した。会議において、K/DOQI法の修正は以下のように承認された。腎臓の損傷あるいはGFR 60mL/分/1.73 m2未満が3カ月以上にわたる場合、病因とは無関係にCKDと定義する。妊娠など、外因性濾過マーカー(イヌリンなど)のクリアランスを採用すべき特殊な状態を除いて、GFRはMDRD推定式あるいはCockroft-Gault推定式を用いて評価すべきである。男女双方における腎臓の損傷は、3件のスポット尿試料のうち2件でアルブミン/クレアチニン比が30mg/g以上であれば確定することができる。糖尿病や高血圧のようなCKDのハイリスク患者にはアルブミン尿の測定を行うべきとの合意に達した。CKDの重症度を表す5段階のK/DOQI分類は保持され、移植と透析を意味するTとDの文字が末尾に付加された。原因および予後によるCKDの分類は、将来の研究の鍵となる分野であることが確認された。

CONCLUSION(結論)

上記の推奨事項は方針書としてKDIGOにより採択された。

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COMMENTARY(解説)

Alan S Kliger

CKDを定義し分類する最善の方法は何か? これまで腎臓専門医らは、腎疾患を、原因によって糸球体性、尿細管間質性、遺伝性、全身性、閉塞性、新生物性などに分類してきた。これらの診断により疾患に対する特定の治療が速やかに行われるならば、この手法は有益である。しかしながら背景となる原因が何であろうと、腎機能の低下とそれによる全身的影響は腎不全に至ることが多い。その過程で、心血管疾患、貧血、栄養失調、骨疾患などの合併症によって病態の悪化と死亡率の上昇をきたす。

2002年、米国腎臓財団のK/DOQIガイドラインは、原因とは無関係に腎臓の損傷の程度によってCKDを分類した1。ガイドラインでは、残された腎機能に見合った臨床活動が提案され、共存症の治療、ハイリスク患者におけるCKDのスクリーニング、CKDおよび心血管のリスク因子の低減が支持された。

われわれはこのKDIGOにより発表された本論文は、K/DOQIによるCKDの定義を改訂し、医師に対して診療上の提言を行っている。臨床検査室により標準化されたGFR推定値が自動的に報告されることの必要性が強調され、尿蛋白検査の明確な手引きが示されている。しかし、限界もある。CKDの「リスクがある」とされる特定の患者群の定義を裏付けるエビデンスが批判的に検討されていないこと、推奨事項の実施を妨げる可能性のある障害が探索されていないこと、GFRと尿蛋白検査の費用対効果が評価されていないことなどである。

この論文の発表は、実際の患者の処置にどう影響するだろうか? 第1に、CKDのリスク患者はルーチンに検査を受けていないため、CDKが確認されていない場合が多い点に注意すべきである。英国の12件の診療記録のレビューでは、MDRDによるGFRが60mL/分未満と判明した患者においてさえ、ごくわずかの症例しか腎疾患として記録されていなかった2。KDIGOは、GFRと尿蛋白検査の対象として、高齢者などリスクのある人、CKDの家族歴のある人、高血圧あるいは糖尿病患者、出生時体重が低かった人、少数の人種・民族、低所得者あるいは教育レベルの低い人に対をあげている。第2に、KDIGOはCKDを、GFRの低下あるいは腎臓損傷のエビデンスと定義している。蛋白尿も腎臓の構造上の明らかな異常もみられない場合、GFRが3カ月以上60mL/分/1.73m2未満であればCKDであるとしている。この定義は、高齢者に多い高血圧およびGFRが60~89mL/分/1.73m2である人(以前は「病期2のCKD」と呼ばれた)を除外している。またKDIGOの定義は、正常範囲にあるGFRを過小評価しがちな、簡略化したMDRD推定式によって生じる、病期2のCKDの誤診を排除する3。GFR推定値が信頼できない状況(筋肉量が通常でない人など)、あるいは正確なGFR値が必要とされる状況(ある種の薬剤の用量を算出するためなど)では、GFRに代わるクリアランス値が必要となる可能性もあることをガイドラインは認めている。

最後に本論文では、尿蛋白検査を、24時間採尿より随意のスポット尿採取によって行い、蛋白尿をアルブミン/クレアチニン比として表すことを推奨している。著者らは、大多数の患者には「スポット」尿の蛋白検査を行い、より正確さが求められる患者(蛋白尿を改善するための治療を受けているネフローゼ患者など)のために蓄尿を用いることを提案している。

これらのガイドラインは全体として、より明確なCKDの定義、およびCKDのスクリーニング・管理への診療上の助言を示している。世界的には、これらのガイドラインは先進国・発展途上国のいずれにおいても同様に有用であることが判明するであろう。

Acknowledgments

The synopsis was written by Chloe Harman, Associate Editor, Nature Clinical Practice.

References

  1. National Kidney Foundation (2002) K/DOQI clinical practice guidelines for chronic kidney disease: evaluation, classification, and stratification. Am J Kidney Dis 39 (Suppl 1): S1–S266
  2. de Lusignan S et al. (2005) Identifying patients with chronic kidney disease from general practice computer records. Fam Pract 22: 234–241
  3. Levey AS et al. (2000) A simplified equation to predict glomerular filtration rate from serum creatinine [abstract]. J Am Soc Nephrol 11: 155A

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