HIT-6TMは頭痛関連障害の測定にどの程度有用か?
原論文
Kawata AK et al. (2005) Psychometric properties of the HIT-6 among patients in a headachespecialty practice. .Headache 45: 638–643
PRACTICE POINT(診療のポイント)
頭痛の影響の評価は、診断時における使用に加えて、頭痛の治療法を選択したり、臨床上の進行度を判定したりするうえでも有用な指針となる。
SYNOPSIS(概要)
BACKGROUND(背景)
Headache Impact Test(HIT-6TM)は、一般的な集団において、頭痛が健康関連QOLに与える影響について患者の主観的経験を測定するうえで、良好な信頼性と妥当性を有している。しかしながら、このツールの特徴は、頭痛専門施設に所属する人々のあいだでも明確にされていない。
OBJECTIVES(目的)
頭痛で受診する患者の健康関連QOLを測定するうえでのHIT-6™TMの信頼性と妥当性を評価すること。また、これらの患者におけるHIT-6TMスコアの解釈可能性を評価すること。
DESIGN AND INTERVENTION(デザインと介入)
質問票に基づくこの試験では、2001年1月から2001年9月のあいだに頭痛クリニックに来院した初診の成人患者を登録した。患者は最初の来院時に、HIT-6TMとShort Form-36(SF-36®)(Medical Outcomes Trust, Inc.、マサチューセッツ州ウォルサム)、ならびに彼らの病歴や過去1カ月間に頭痛を経験した日数などの詳細をたずねた質問票に回答した。約4カ月後、患者は郵送によるフォローアップ調査票に回答した。
OUTCOME MEASURES(評価項目)
HIT-6TMの信頼性を評価し、その構成の妥当性をSF-36®の8つの健康分野下位尺度との相関を分析することによって測定した。また、探索的因子分析と項目応答理論を用いて、HIT-6TMスケール上の項目と頭痛の影響レベルとの関連を評価した。
RESULTS(結果)
患者369例中309例(84%)が質問票に回答した。患者の平均年齢は41歳(標準偏差13歳)であった。参加者の大部分(57%)は、前の月に少なくとも15日以上頭痛を経験したと報告した。患者262例(87%)で、ベースライン時に60以上のHIT-6TMスコア(重度の頭痛の影響を示す)が記録された。HIT-6TMの内的整合性の信頼性は高いものであった(クロンバックの係数=0.87)。HIT-6TMスコアと8つのSF-36健康分野下位尺度スコアとのあいだの相関性は中から大の程度であり、日常役割機能(身体)(相関係数r=-0.52)と社会生活機能(r=-0.57)の下位尺度でもっとも強く、全般的健康(r=0.29)と精神的健康(r=-0.22)でもっとも弱かった。探索的因子分析では、「障害」という単一因子がHIT-6TMの項目の分散を説明することが示唆された。また、項目応答理論解析では、HIT-6TMのうちの3項目が、他の3項目に比べて、健康関連QOLに対する頭痛の影響をすべてのレベルでより明瞭に識別できることが明らかになった。識別性の高いHIT-6TM項目は「通常の日常的活動を行う能力」、「疲れ過ぎ」および「集中力」であった。
CONCLUSION(結論)
HIT-6TMは、頭痛専門のケアを求めている患者に対して、頭痛が健康関連QOLに与える影響を評価するうえで有用なツールであるように思われる。
COMMENTARY(解説)
Richard B Lipton
およそ10人中1人の人が片頭痛に苦しんでおり、こういった頭痛はQOLに大きな影響を与えている。片頭痛の診断および治療を改善するためのアプローチとしては、障害の評価が広く推奨されている1,2。しかし、頭痛が健康関連QOLに対して与える影響を測定したり、あるいは頭痛に対する新たな治療レジメンの短期的転帰を評価したりするための標準的なツールは存在していない。HIT-6TMと片頭痛障害評価尺度(MIDAS)という、片頭痛に特化した短く簡単な2つの障害評価ツールが臨床現場向けに開発されている。Kawataらが論文で焦点を当てたHIT-6TMは、36から78までの任意単位のスコアで頭痛の影響を判定するものである3。一方、MIDASでは3つの領域について、3カ月間のあいだに頭痛のために失われた日数という直観的に意味のある単位で障害が測定される。両手段とも、治療ニードの異なる4カテゴリーの患者を確認するために用いられる。
Kawataらは、注意深く詳細に報告された研究のなかで、頭痛専門施設に来院した初診患者369例(そのほとんどは慢性連日性頭痛を経験していた)に対してHIT-6TMを施行した。彼らは、患者の圧倒的多数(87%)がQOLに対して「重度の影響」を有する頭痛に苦しんでいることを見出した。また彼らは、HIT-6TMが高い内的整合性の信頼性(クロンバックの係数=0.87)を有することを示した。これは6項目のすべてが、共通の基底構造をサンプリングしていることを意味する。さらに彼らは、HIT-6TMのスコアをSF-36®下位尺度スコアと比較することによって妥当性を評価した4。SF-36®は健康関連QOLのもっとも広く使用されている尺度である。社会生活機能に関するSF-36®下位尺度との相関は、-0.22から-0.57の範囲であった。負の相関はこれらの尺度の方向が逆であることを示しており、頭痛の影響の高さは健康関連QOLが低いことと関連している。
MIDASも健康関連QOLの測定値と相関することが示されている5。また、日記による毎日の記録により、MIDASスコアは3カ月のあいだに頭痛のために失われた時間を正確に反映することが示されている1,2。MIDASは治療の緊急性に関する医師の判断(これは治療の必要性に関する患者自身の認識に影響する)と一致することが示された。さらに、MIDASスコアに基づき選択された治療パラダイム(層別化ケア)は、障害を無視したステップケア戦略よりも良好な結果をもたらす6。ステップケアではすべての患者で治療ピラミッドの最下位から治療が開始され、その後、必要に応じて治療が拡大される。層別化ケアでは、患者と頭痛の特性に基づいて治療を最適化することが試みられる。
頭痛障害ツールは現在、頭痛専門施設で広く用いられている。これらのツールは、より緊急の治療を必要とする患者を特定し、治療に対する反応を判定するうえで役立つ。われわれは頭痛の転帰を改善するための方策として、HIT-6TMやMIDASのような手段がより広く使用されることを推奨する。
GLOSSARY(用語)
- HEADACHE IMPACT TEST(HIT-6TM)
- 頭痛がQOLに与える影響を測定する6項目の尺度。スコアは「影響がほとんど、あるいはまったくない」(≦49)から「重度の影響」(≧60)までの4グループに分類される。
- SHORT FORM-36 (SF-36®)
- Medical Outcomes Study 36-Item Short-Form General Health Surveyの略称。身体的および精神的健康に関する8つの側面を0(最悪)から100(最良)までの尺度で評価する。
- 探索的因子分析
- 一群の変数の基底構造を発見するために用いられる統計学的手法。変数を1つ以上の基底因子に帰属させ、単一の基底因子の立証を尺度のバリデーションに利用する。
- 項目応答理論
- 尺度内の個々の項目と、項目が測定する基底性質とのあいだの関連性を評価するための統計学的方法。
- クロンバックの係数
- 尺度内の項目に対する応答が互いに相関する程度を測定する信頼性係数。尺度として考慮される項目について、よく使用されるカットオフ値は≧0.70から≧0.80である。
Acknowledgments
The synopsis was written by Emma Campbell, Associate Editor, Nature Clinical Practice.
References
- Stewart WF et al. (1999) Validity of an illness severity measure for headache in a population sample of migraine sufferers. Pain 79: 291–301
- Stewart WF et al. (1999) An international study to assess reliability of the Migraine Disability Assessment (MIDAS) Score. Neurology 53: 988–994
- Kosinski M et al. (2003) A six-item short-form survey for measuring headache impact: the HIT-6. Qual Life Res 12: 963–974
- Ware JE et al. (1993) SF-36 Health Survey Manual and Interpretation Guide. Boston: New England Medical Center, The Health Institute
- Lipton RB et al. (2000) Migraine, quality of life and depression: a population-based case–control study. Neurology 55: 629–635
- Lipton RB et al. (2000) Stratified care is more effective than step care strategies for migraine: results of the disability in strategies of care (DISC) study. JAMA 284: 2599–2605
