Practice Point

鈍的頭部外傷のある小児におけるCT画像法の施行を臨床的基準7項目のうち1項目が合致した患者に限定することができるか?

原論文

Oman JA et al. (2006) Performance of a decision rule to predict need for computed tomography among children with blunt head trauma. Pediatrics 117: e238-e246

PRACTICE POINT(診療のポイント)

NEXUS IIの決定補助策は、頭部損傷のある小児患者と成人患者の両方において、より効果的にCTスキャン検査の的を絞る助けとなろう。しかしCTスキャン施行率に対するその影響はいまだ確定されていない。

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SYNOPSIS(概要)

BACKGROUND(背景)

最近行われたNational Emergency X-Radiography Utilization Study (NEXUS) IIでは、鈍的頭部外傷のある患者の頭蓋内損傷(ICI)を除外するために、重度の頭蓋骨折、覚醒レベルの障害、神経学的障害、嘔吐の持続、頭皮血腫、異常行動、凝固障害、高齢の8項目の臨床上の尺度による決定基準が考案された。その意図は不必要なCTスキャンを未然に排除することにある。

OBJECTIVES(目的)

鈍的頭部外傷のある小児科患者でのNEXUS II決定基準の実施について検討すること。

DESIGN AND INTERVENTION(デザインと介入)

今回の解析には、NEXUS IIに参加した小児科患者(18歳以下)全員が含まれた。NEXUS IIは、北米全土の救急診療部21カ所に収容された鈍的頭部外傷のある患者を対象とした前向き観察研究であり、研究期間は1999年5月から2000年12月であった。神経外科的介入を要するICIまたは長期にわたる重大な神経障害を伴う可能性のあるICIと定義される臨床的に重大なICIを特定するために、救急診療部の評価の一環として患者全員が頭部CTを受けた。小児科のコホート全体(n=1,666)と3歳未満の小児(n=309)において、NEXUS II決定法の実施(高齢の基準を除く)について評価した。

OUTCOME MEASURES(評価項目)

NEXUS II法の感度、特異度、陰性的中率(NPV)。

RESULTS(結果)

全体で小児138例(8.3%)に臨床的に重大なICIがあった。これらの患者の大多数において、医師はNEXUS II法に含まれるほとんどの変数を評価することができた。このうち神経学的障害(Glasgow Coma Scaleスコアが15未満のものを含む)、覚醒レベルの障害、異常行動は最も頻度の高い所見と報告された。NEXUS II決定基準により、ICIの症例138例のうち136例が正確に特定され、230例が低リスクに分類された。その結果は、感度98.6%(95%CI 94.9~99.8%)、特異度15.1%(95%CI 13.3~16.9%)、陰性的中率99.1%(95%CI 96.9~99.9%)であった。決定法により特定できなかった小児2例に神経外科的介入は不要であった。NEXUS II法は3歳未満の患者においてさらに好成績を収め、このうちの25例(8.1%)には臨床的に重大なICIがあった。これらの症例すべてが決定基準を用いて的確に特定され(感度100%、95%CI 86.3~100%)、15例が低リスクに分類された(特異度5.3%、95%CI 3.0~8.6%;陰性的中率100%、95%CI 72.8~100%)。ICIのある3歳未満の小児に観察されたもっとも頻度の高いNEXUS IIの基準は覚醒レベルの障害であり、頭皮の血腫がそれに続いた。医師はこれらの患者のうち8例で神経学的機能を完全に評価することができなかったが、ICIのある3歳未満の小児全員にNEXUS II法に含まれる別の危険因子が1つ以上観察された。

CONCLUSION(結論)

頭部損傷のある小児におけるCT画像法の施行を、修正したNEXUS IIのリスク基準の1項目以上を呈する患者に限定しても差し支えない。

KEYWORDS(キーワード)

小児、臨床的決定の補助策、コンピュータ断層撮影法(CT)、頭部損傷

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COMMENTARY(解説)

Laurence Dunn

頭部損傷は臨床診療において頻繁にみられるものであり、その後遺症は重大な社会経済的影響をもたらす。損傷の大多数は軽度で、とくに手術介入あるいは神経学的集中介入は必要ない。しかし、かなりの割合を占める患者が生命を脅かす合併症を発現する。頭部損傷の早期管理の多くは、介入がもっとも奏功する早期の段階でこうした個人を特定しようとするものである。画像法、とくにCTスキャンは、この早期管理においてきわめて重要な役割を果たす。しかしCTスキャンによる利益は少ない傾向があり、英国で最近出版された頭部損傷治療に関するガイドライン1,2は、頭部損傷を有する患者に対して、医療資源に多大な影響を及ぼし、重大なICIのない多くの患者を放射能に曝す危険を伴うとしても、早期のCTスキャンの施行をもっと枠にとらわれずに行うことを推奨している。

その結果、成人と小児におけるCTの必要性を確実に予測することが可能な、臨床的に有用な決定補助策があればかなりの価値をもつ。Omanらが提案した決定基準は、こうした手段の提供に貢献するものである。著者らは7項目の臨床的尺度を基準とした、高い感度と適度の特異度で小児の重大なICIを予測する決定法を考案した。この決定基準を適用することで、小児患者群における不必要なCTスキャンの施行数を少しは減少させることができよう。

研究のいくつかの点は特筆に値する。この決定基準は相当数の小児患者集団(NEXUS II研究グループのサブセット)において考案された。最近開発された別の決定策(Canadian CT head rule3)は頭部損傷のある成人患者集団に由来するもので、小児科患者に適用できるとは考えにくい。さらに、Canadian CT head ruleは意識のある患者での評価が行われておらず、このような患者は頭部損傷を負って来院する患者の相当数を占める。

Omanらが示した基準の特異度は低いが(15.1%)、本研究で患者に適用した結果、CTスキャンの施行数は13.8%減少している。小児に対する施行数の多さを考えると、とくに小児科集団で現在CTスキャンが無制限に利用されている国々において、この基準は資源をかなり節約し、X線への曝露を減少させることができよう。

他方で、CTスキャンを受けなかった患者は本研究には組み入れられていない。こうした小児の一部に重大なICIがあった可能性もあり、その症例のうち何例がスキャンに対する決定基準の尺度に合致したかは不明である。しかしスキャンを受けなかった患者コホートの追跡調査から、その後、頭部損傷関連の治療のために入院した者はなかったことが明らかとなった。

おそらくもっとも重視すべき点は、この基準が別の患者コホートにおいて確認されていないことであろう。頭部損傷のある患者に対する一般的な適用をよしとし、CTスキャン施行率に対するその影響を過信する前に、別の患者群において、この基準の感度、陰性的中率、特異度を確認することが重要であろう。

References

  1. National Institute of Clinical Excellence (online June 2003) Head injury: triage, assessment, investigation and early management of head injury in infants, children and adults [http://www.nice.org.uk/pdf/cg4niceguideline.pdf] (accessed 25 May 2006)
  2. Scottish Intercollegiate Guidelines Network (online August 2000) Early management of patients with a head injury [http://www.sign.ac.uk/guidelines/fulltext/46/index.html] (accessed 25 May 2006)
  3. Stiell IG et al. (2001) The Canadian CT Head Rule for patients with minor head injury. Lancet 357: 1391–1396  | Article | PubMed | ChemPort |

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