HIGHLIGHTS
ngeo.2007.18
スプートニク・スペシャル:月の採掘
(英語版はこちらから)
Ninad Bondre
© NASA |
クリーンかつ安全で将来有望なエネルギー源である3Heは、月表面に地球の約3万倍存在する
3Heは、より軽い非放射性のヘリウム同位体であり、将来有望な核融合燃料源とされているが、月におけるその存在量は、地球上よりも多いと考えられている。新たな研究で、月表面に存在するこの同位体の分布と総量が数値化された。
復旦大学(中国)のW FaとY-Q Jin1は、月の3Heの主な供給源である太陽風の、月のこちら側と裏側におけるフラックス分布のシミュレーションを行った。彼らはこの結果を、月の土壌の成熟度および鉱物イルメナイトの存在量の推定値と組み合わせた。このイルメナイトは、月表面の土壌における3He蓄積の主な決定因子である。また彼らは、表土層の厚さを推測するリモートセンシングモデルも提案している。これは、月の3He存在量の評価についての主な不確かさを検討することができるものだ。アポロが持ち帰った土壌サンプルの測定結果と合わせて、これらの結果は、月の海、つまり月の表面に広がる火山性平原で、3Heの相対存在量が最も多いと考えられることを示唆している。というのも、その領域の二酸化チタン含有量が多いことから、イルメナイトが豊富に存在すると推測されるためである。月の表土における3Heの総含有量は、これまでに推測されていた地球上の20トンよりはるかに多い、約65万トンと推定される。
月で採掘される3Heが化石燃料の代わりになるか否かは、今後の課題である。しかし、スプートニクの打ち上げ以来50年の間に、月、太陽系、宇宙で起きている現象について我々が得た知識は、人類による宇宙への第一歩をたたえる理由としては十分である。
出典
Fa, W., & Jin, Y.-Q. Quantitative estimation of helium-3 spatial distribution in the lunar regolith layer. Icarus, 190, 15-23 (2007).
