HIGHLIGHTS

ngeo.2007.41
古気候学: 熱帯での温度変動
(英語版はこちらから)
Alicia Newton

Palaeoclimate: Tropical changes
© NASA

カリブ海で得られた過去8世紀の記録から、海面温度は今日よりも中世のほうが高かったことが明らかになった

過去の気候記録からは、近年の温度変動を長期的につかむことができる。新しくカリアコ湾から採取された堆積物の年層の記録により、過去8世紀間にわたる大西洋熱帯地域の海面温度の変動に光が当てられた。堆積物の記録は、20世紀が過去800年で最も温暖な100年間というわけではないことを示唆している。

ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校(米国)のD Blackら1は、ベネズエラ海岸沖のカリアコ湾から得られたコアを1 mm間隔でサンプリングし、コアの年層を分析することに成功した。さらに研究チームは、プランクトン有孔虫化石のマグネシウム/カルシウム比と安定酸素同位体比を用いて、西暦1250年頃から現在までのカリブ海の海面温度を再現した。海面温度は、中世温暖期(西暦1425年から1500年)に約1 ºC上昇し、その後、小氷河期(西暦1500年から1640年)には急激に1.5 ºC低下していた。

近年の温度上昇は得られた記録の中のどの100年間よりも大幅で急速なものだが、全体として海面温度は、中世温暖期に比べ20世紀のほうが低かった。ただし、この20年間の海面温度は、過去最高記録に急速に近づきつつある。

出典

1. Black, D. E. et al. An 8-century tropical Atlantic SST record from the Cariaco Basin: Baseline variability, twentieth-century warming, and Atlantic hurricane frequency. Paleoceanography 22, PA4204 (2007).