HIGHLIGHTS

ngeo.2007.47
固体地球:グリーンランドの地殻隆起
(英語版はこちらから)
Alicia Newton

Solid Earth: Greenland rising
© Jens Buurgaard Nielsen

グリーンランドでの氷河溶解により下層の地殻が隆起する

グリーンランドでの氷床および氷河氷の溶解は、北大西洋の海面上昇および海水の淡水化の要因となっている。氷河減少の影響は地殻にも影響することが、新しい研究により明らかになっている。

かつて最終氷期末期に大きな大陸氷床が溶解した際、まるで重しをどけたマットレスのように地殻が隆起した。デンマーク工科大学のS Khanら1は、GPS(全地球測位衛星)観測網から得たデータを用いて、小規模な氷床縮小もグリーンランドでの検出可能な隆起の原因となることを明らかにした。この研究チームによれば、グリーンランド南東部海岸に面するクルスク周辺の地殻が、2001年から2006年の間に約35 mm隆起したという。研究チームは、この隆起の約60 %がクルスクの北方に位置する2つの溢流氷河の溶解に起因するとしている。この隆起のもう1つの要因は、南東海岸に沿った氷床の薄層化である。

2004年の春以降の急速な地殻隆起は、グリーンランド南部での氷河溶解の加速と同時期に起きている。クルスク周辺で観察された地殻上昇は、南東部海岸沿いの氷河の全体的な減少速度が年間160 km3以上に達することを示唆している。これは、グリーンランドが海面上昇に及ぼす影響全体のうち、かなりの割合を占める。

出典

1. Khan, S. A. et al. Elastic uplift in southeast Greenland due to rapid ice mass loss. Geophys. Res. Lett. 34, L21701 (2007)