HIGHLIGHTS

ngeo.2007.49
海洋学: アトラス山脈流出?
(英語版はこちらから)
Alicia Newton

Oceanography: Atlas sheds?
© Hans Peter Schaefer

大西洋北東部亜熱帯に飛来する鉄を豊富に含んだ粉じんは、モロッコのアンティアトラス山脈に由来している

北アフリカから運ばれてくる粉じんは、大西洋にとって重要な栄養物であるとともに、汚染源となっている。先ごろ発表された研究は、ある地点の粉じんの大半がモロッコの特定の地域から飛来していることを示している。

国立海洋学センター(英国サウサンプトン)のV Chavagnacら1は、大西洋北東部亜熱帯のマデイラ深海平原の海底近くで収集した1年分の堆積物の時系列を解析した。海床に降り注ぐ粉じん粒子が最も高くなるのは、1月から3月にかけての時期であった。一過性の粉じん飛来も、短期間ながら大量の粒子を流入させる原因となっていた。以前に示唆されたように、発見された粘土のタイプや粒子の希土類元素組成は、これらが北アフリカから風によって運ばれてきたことを示唆している。ストロンチウム同位体比やパリゴルスカイトが含まれていることなどから、粉じんのより正確な特性分析を行うことができ、モロッコのアンティアトラス山脈が唯一の発生源であることが示唆される。

この粉じん飛来の結果、海面における1日あたりの溶存鉄およびリン量は、それぞれ平均0.08 µmol m−2および0.005 µmol m−2に上る。大規模な粉じん飛来があると、この量は4倍に増える。一般にこのような環境では、制限要因であるこれらの栄養物が供給されることで、窒素固定細菌や植物プランクトンのブルームが発生しやすくなっている。

出典

1. Chavagnac, V. et al. Anti-Atlas Moroccan Chain as the source of lithogenic-derived micronutrient fluxes to the deep Northeast Atlantic Ocean. Geophys. Res. Lett. 34, L21604 (2007).