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盲目の時計職人と3次元像

表面での衝突

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GETTY IMAGES MODIFIED
BY SIMON FENWICK

インクジェット印刷では、液滴を表面に落とした後、散らばらないようにすることが重要である。しかし、表面が撥水性だと液滴は跳ね返ってしまう。高速度撮影によってこのような事象の決定的な最初の数ミリ秒に関する貴重な情報が得られ、意外なことが明らかになる。

D Bartoloらは、液滴が疎水性の表面に衝突した際に、液滴から細かな噴射が生じる様子を観察した(Phys. Rev. Lett. 96, 124501; 2006)。噴射速度は衝突速度の40倍に達するが、その挙動は液滴内部の空洞形成(とその後の崩壊)が原因であることがつきとめられた。

別の研究でM Reyssatらは、マイクロメートルサイズの柱でできた超疎水性の環境に落下する液滴を詳細に観察した(Europhys. Lett. 74, 306-312; 2006)。液滴は、中程度の速度では完全に跳ね返るが、高速の場合は表面構造の内部にしみ込み湿らせる。衝突がさらに強くなると、二次的な小さい飛沫が微細構造の表面に現れる。

盲目の時計職人への信頼

工学技術に進化アルゴリズムを用いるのは新しいことではなく、飛行機から医薬品に至るまであらゆる設計で利用されている。しかし、進化アルゴリズムは地球上の全生命のデザインに関与しているにもかかわらず、設計者が進化アルゴリズムを信頼して特定の問題の解をゼロから見つけようとすることはまれで、ほぼ最適であると思い込んでいる知的推測を用いようとすることが多い。

使用する材料の屈折率を除いて仮定をおかずに、高品質光共振器の構築に着手したM Lipsonらはそうではなかった(Phys. Rev. Lett. 96, 143904; 2006)。屈折率の高い物質と低い物質でできたランダムな初期パターンに進化アルゴリズムを適用することによって、Q値が300で光の波長よりはるかに小さなモード体積をもつ構造を彼らは発見した。この構造は、おそらく誰も光の閉じ込めを意図して作ったことはなかったはずだが、それでもちゃんと機能するのである。

チップ上の原子力

マイクロメートルスケールの構造物や組立品の精巧度は高まる一方であり、「ラボオンチップ」技術の(潜在的な)能力も高まっている。チップ上の電源は有望であり、これを目指してB Liuらはシリカ母材中にトリチウムを吸蔵する技術を開発した(Appl. Phys. Lett. 88, 134101; 2006)。この放射性同位元素はβ線を放出するので、電子源として機能し、発電や近くにある分子のイオン化に利用できるかもしれない。

大規模な原子力発電所と同様に、安全性は小型の原子力発電装置にとって最も重要な問題である。母材にトリチウムを入れて保持するため、Liuらは高圧下でシリカフィルムに気体を充填した。続いて遠紫外線レーザーを照射し、安定したSi-OT結合を形成して選択した場所にトリチウムを効果的に固定した。

実験では、固定されたトリチウムが400°Cまで安定していることが確認されたが、これはレーザー処理を行わない場合より200°C高い。

3次元テラビジョン

テラヘルツ電磁波の用途として見込まれているものは数多いが、イメージングは最も魅力的なものの1つである。というのは、X線などの電離放射線に一般的に伴う損傷を引き起こすことなく生組織、セラミック、木材などを含む多種多様の材料に深く浸透できるからである。これまで、この分野での研究はほとんど2次元のイメージングのみに集中していた。

K L Nguyenらは、この研究をさらに進めてテラヘルツ電磁波を初めて利用した固体の完全な3次元像を示した(Opt. Express 14, 2123-2129; 2006)。高出力のテラヘルツ量子カスケードレーザーとCTに使用されるのと同様の画像取得技術を組み合わせることにより、様々なポリスチレン被写体から一連の断層像を收集して、外部および内部構造の3次元マップを再構成することができた。

揺れ続ける気体

粒子集団では、一般に衝突によって熱平衡に達する。しかし、「ニュートンの揺りかご」で遊んだ経験のある人なら、このような粒子の1次元配列では速度分布が変わらないことに気づいているだろう。衝突する球体は(理想的には)単に運動量を交換するだけであり、一般的な平衡状態を見つける役には立たない。今回、T Kinoshitaらは、量子の世界でこのゲームをしようと試みた(Nature 440, 900-903; 2006)。

この実験では、それぞれ数百個のルビジウム原子からなる小さなガス雲を衝突させた。1次元の光学ポテンシャル中で振動する場合、ガス雲は衝突を何度も繰り返す。しかし、何度衝突を繰り返しても平衡状態に落ち着く兆しは見られない。対照的に、同等な3次元気体では数回の衝突で熱化する。

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Kinoshitaらの実験結果は、統計力学のエルゴード仮説(この仮説によると、閉じた系は位相空間全体に自由に存在すると予想される)と矛盾し、この仮説の限界を明らかにしており、さらに研究を進めていく上で役に立つかもしれない。


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