HIGHLIGHTS

フリップフロップとツイスター

量子フリップフロップ

循環電流が自発的に発生するよう設計された小ループである超伝導πリングが、高温超伝導体中のペアリング対称性が議論の余地なくd波であることを明らかにしたことはよく知られている。循環電流は時計回りか反時計回りでなければならず、基底状態は縮退している。T Ortleppら(Science doi:; 2006)によると、実用的な目的にこの特性を利用できるようである。

循環電流は、自然に半磁束量子の磁束を発生させる。閉じ込められた磁束は、πリング平面に対して「上向き」あるいは「下向き」なので、単一の磁束量子パルスを印加することによって切り換えることが可能な1ビット情報に相当する。その結果得られる双安定デバイスは、フリップフロップつまりデジタルデータの伝達や保存によく使われる入力信号に応じて出力状態が切り替わる論理回路素子の量子版である。位相のπシフト(d波超伝導体と従来のs波超伝導体とを組み合わせて実現される)を伴わずに、なんとかして半磁束量子をデバイスに導入する必要がある。今回の方法は単純でより安定しており、コンパクトであると著者らは述べている。

電子ビームはツイストを踊る

磁気円二色性(MCD)とは、磁場の存在下においてある種の材料がもつ、ある方向に円偏光した光を逆方向に円偏光した光よりも多く吸収する傾向である。MCDの特性、したがって物質の特性を微視的なスケールで研究する上でX線は有用な手段であるが、調べることができるのは物質の表面のみである。電子顕微鏡は原理的にはサンプルのより深いところから同様の情報を得ることができるが、電子ビームをスピン偏極する必要があるため、実際には実現できないと思われていた。

P Schattschneiderらは、このスピン偏極の必要がないことを示した(Nature 441, 486-488; 2006)。彼らは、電子エネルギー損失とX線吸収スペクトルを使用して、電子とX線が磁化鉄薄膜と相互作用した場合、同様の方向依存性をもって吸収されることを実証した。

ベータ版

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SNO

1987年2月23日、超新星が発した光のバーストが世界中の望遠鏡で捕らえられた。その3時間前に、日本、ロシアおよび米国の3つの検出器により合計24個の超新星ニュートリノが検出されている。サンプル数は少ないものの、これはコア崩壊型超新星の物理現象を直接観測するめったにない機会であった。世界中で高性能のニュートリノ検出器(写真のSNOもそのひとつ)の数が増えているので、超新星が生み出すニュートリノのエネルギースペクトルを通して、今後発生する超新星からさらに多くの情報を得られる可能性がある。

しかし、N JachowiczとG C McLaughlinが指摘するように(Phys Rev Lett 96, 172301; 2006)、検出された信号からそのような情報を読み解くにはかなりの困難が伴う。1つの問題は、ニュートリノと典型的な検出器の大きな体積に含まれる原子核との当該エネルギーにおける散乱断面積がよく分かっていないことである、JachowiczとMcLaughlinは、「βビーム」(放射性原子核のβ崩壊によって生成されるニュートリノの強い平行ビーム)を用いた低エネルギー散乱実験によってこれらの断面積を明らかにできることを示した。βビーム設備の建設は、EUからの資金供与を受けた研究EURISOLにおいて現在検討されている。

ダイヤモンドのフォトニック結晶

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CUDOS@USYD

実用的な量子コンピューターの回路を構築するために提案されている多くの候補システムのうち、ダイヤモンドにおける窒素欠陥の超寿命電子スピンを使用するスキーム(本号408ページ参照)が注目を集めている。

そのようなスキームのスピン状態の初期化および読み出しは光を使って行われる。この過程の効率を上げるためには、ダイヤモンド自体に一連のフォトニック結晶キャビティを集積して各入出力スピン状態の回りに光の場を集中することが有効である。しかし一見したところでは、ダイヤモンドの屈折率は低く強結合に必要な高いQ値を得るのは困難であるように思われる。

しかしS T Hanicら(Opt. Express 14, 3556-3562; 2006)はこれに反論している。彼らは、ダイヤモンドのナノフォトニック結晶キャビティの構造(写真)を数値的に最適化して3×104のQ値を実現した。これは、光アドレシングの原理の実証に十分な値である。

ノイズから得られる画像

断層映像法は用途が広くかつ非侵襲性である。核磁気共鳴映像法(MRI)は、無害な電磁波を使用して被験者または被写体を透視するため特に都合がよい。しかし、高周波照射によりサンプルが発熱する。一般的にこの影響は小さいが、それでも有害である可能性はある。しかし、N MüllerとA Jerschowは電磁波を使用せずにノイズを検出するという少々違った方法で画像を得た(Proc. Natl Acad. Sci. USA 103, 6790-6792; 2006)。

彼らの実験は、強磁場および高感度の高周波回路を使用しており、従来のMRIとはそれ程異ならないように思われる。しかし、高感度の高周波回路はサンプル内の核スピンを扱うためでなく、スピンノイズとして知られている統計的なゆらぎを記録するために使用される。撮影した幅4.2 mmの試験対象の画像において、その内部構造を明瞭に解像できたが、信号強度は従来の撮影法より劣っている。しかし、MüllerとJerschowは、核スピンノイズ映像法が非常に小さなサンプル、または非常に弱い磁場における撮影では競合できるだろうと期待している。


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