HIGHLIGHTS
レンズがなくてもシャープな焦点
©AIP 2006
屈折レンズは、近赤外から可視波長の光を集束する最も一般的な手段である。 しかし、これ範囲にない波長においては、そのようなレンズは全く存在しない。この問題に取り組むために、S Hongらはレンズを用いないで光の集束パターンを生成する技術を実証した(Appl. Phys. Lett. 88, 261107; 2006)。
この技術は、単色の光学パターンを様々な方向から集まる非集束平面波の重ね合わせとして扱うことができるという事実に基づいている。S Hongらは、鏡を用いて可視光レーザーのビームを15本のビームに分割し、円周上に均一に振り分けた角度から1点に集めて(写真)、光学的ベッセル分布の精密な近似を発生させた。さらに、センタースポットは光学波長の約1/3に集束することを示した。これは、顕微鏡法から光トラッピングまでさまざまな用途に役立つ可能性がある。
詰め込みにくいのは
1972年、M Gardnerへの私信で、S Ulamは、全く同じ球体をどのように詰め込んでも、その密度は最適な配置で詰め込んだ他の凸体より常に低いと推測した。しかし、J ConwayとS Torquatoはその反例を発見したようだ。正四面体ではより大きな隙間が残ることが示唆されている(Proc. Natl Acad. Sci. 103, 10612-10617; 2006)。それどころか彼らは、これが全ての凸体の中で最も低い充填密度を持ちうるのではないかと考えている。
最も密に詰め込んだ場合、球体は空間の約74%を占める。正確には π/√18で、1611年にケプラーが提案したことは良く知られている(しかし証明されたのはつい最近のことである)。しかしながら、回転自由度を有する物体を含めると問題はさらに難しくなる。ConwayとTorquatoは可能性を系統的に調べ、四面体の方向や位置を変えてできるだけ接近させて、 72%に近い密度を得た。余地が幾分残っているものの、球体の密度である74%には達しそうにないことを発見したと、彼らは述べている。
重力波の超伝導トラップ
重力波(GW)は、例えば2つの超大質量ブラックホールの衝突によって生じる。このGWを測定するために設計された検出器は、未だ直接観測を待っているが、より局所に目を向ける研究者もいる。
M. E Gertsenshteinは、1962年に、アインシュタインの一般相対性理論における非線形な場の方程式の結果、電磁波と重力波が結合することを指摘した。したがって原理的には、電磁波の伝搬によって弱いものだが周波数の高いGWが発生する可能性がある。他の研究者らは、超伝導媒体では、cと等しいと仮定されているGWの位相速度は約1/300に減少しうると予想した。
今回C Woodsは、印加磁場を用いてGWを制御することを提案した(Physica C 442, 85-90; 2006)。彼は、第二種超伝導体の基本特性(磁束線は渦糸コアを通して超伝導体に侵入する)を利用した。超伝導でないため、渦糸コアは事実上反導波管の役割をし、GWはこれを通して伝搬できない。渦糸コアの大きさが磁場強度に依存するため、残りの超伝導体中を伝搬するGWを操作できるかもしれない。
Qボールで遊ぶ
「Qボール」は、文字通り電荷Qのボールである。厳密に言えば、非トポロジカルソリトンの一種で、電荷Qが局在した場合の方が、Q個の分離した単位電荷粒子がより分かりやすい「基底状態」で配置している場合よりもエネルギーが低いときに現れる。これは理論的には間違いなく興味深いが、Qボールの多様なふるまいは凝縮物質物理学や天文物理学にとっても(例えば暗黒物質の候補として)魅力的である。
M Deshaies-JacquesとR MacKenzie(Phys. Rev. D 74, 025006; 2006)は、空間2次元でゲージ化したQボールのふるまいに注目した(「ゲージ化」とは、Qボールの複合スカラー場がU(1)ゲージ場と結合していることを意味する)。そのような物体は通常、いわゆるチャーン-サイモン項をモデルに加えなければ電場エネルギーが発散する。分数量子ホール効果の研究や超伝導のエニオンに基づくメカニズムに二次元系のチャーン-サイモン項が出てくるのは興味深い。 Deshaies-JacquesとMacKenzieは、そのようなQボールが2種類に分けられることを発見した。片方は、電荷に対するエネルギーの比が他より低い。Qボールは、予想通り電荷に最大値があり、意外なことに、電荷に対するエネルギーの比が1未満である場合に電荷は最大となる。
コースティックパージ
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夏の午後、気温が高く、空には積雲の群れが浮かんでいる。 すると突然どしゃ降りになる。M Wilkinsonら(Phys. Rev. Lett. in the press; http://arxiv.org/cond-mat/0604166)は、積雲から突然雨が降り始めるのは、雨滴の速度場におけるいわゆるフォールドコースティックスの形成が原因であると報告している。
積雲において典型的な小規模な乱流が、にわか雨の発生過程に関係しているとかねてから考えられてきた。しかし、ほとんどの研究で、クラスターの形成が関係するメカニズムであると仮定されている。Wilkinsonらの考えは異なる。乱流の強度が増すと、ある時点で高速の液滴が低速の液滴を突然追い越し始めると主張する。雲内部の特定の場所では、液滴の速度場はいくつかの値をとり、コースティック状態になる。この液滴間の相対運動により衝突率が急激に増加する。これは活性化過程に似ていて、ここでは乱流の強度が温度の役割を果たしている。
乱流の強度がある閾値を超えると、雨が降りだすのである。
