HIGHLIGHTS
Subject Category: Astrophysics
爆縮の診断
レーザーで駆動する慣性閉じ込め核融合は、水素原子核の融合によってエネルギーを発生させる代表的な方法の1つである。この方法では、重水素と三重水素が入っている球状のペレットに多数の高出力レーザービームを全方向から照射し、核融合に必要な高温・高圧に達するまで圧縮・加熱する。この方法を使用して自続的核融合反応の点火は次の5年以内に達成されると期待されるが、そのためにはペレットをほぼ完全に対称的に圧縮する必要があるだろう。
この目的のため、A Mackinnonらはストロボに似た方法で陽子のパルスビームを使用する放射線写真法によってレーザーで駆動駆動された爆縮中の正確な瞬間におけるペレットの形状および密度の画像を撮影できることを実証した(Phys. Rev. Lett. 97, 045001; 2006)。このような診断法は、点火に必要な条件を最適化するのに不可欠であると思われる。
突いて、絞って
もはや超伝導を示す元素の数は、超伝導を示さない元素を上回った。多くの元素では、歪みまたは圧力によって適切な電子配置に変える必要がある。転移温度T cは、原子量の小さい元素ほど高くなる傾向がある。最も軽い金属元素であるリチウムの転移温度は2番目に高い(48 GPaで20 K)。新記録は25 Kで、藪内ら(J. Phys. Soc. Jpn 75, 083703; 2006)の報告によると、カルシウムを161 GPaまで圧縮して達成された。
25年前の2Kおよび44GPaでカルシウムが超伝導になる可能性を示す徴候は、その後確認された。さらに、Tcは加えられた圧力に伴い、いくつかの構造相転移を経ながら増加する。現在は、ストロンチウムやバリウムと同様に、圧力によってs軌道とd軌道の混成が起こり、フェルミ準位近傍のd軌道が占められるようになって、超伝導が生じると考えられている。高圧相では、同時に抵抗が増加するため、電子‐フォノン散乱の増加が示唆される。基本的には、圧力が高いと電子‐フォノン結合が強まり、Tc が高温になる。
思考実験だけではない
© MUSEUM BOERHAAVE,
LEIDEN, THE NETHERLANDS
アルバート・アインシュタインの「驚異の年」(annus mirabilis)の祭典の後に、彼の理論研究の驚異についてさらに詳しく説明する必要はない。しかし、彼が科学機器の設計にもかかわっていたことはあまり知られていない。そのような機器の1つは、小さな電位を測定するために考案され、その装置の原型が今も3つ残っている。今回、D SegersとJ Uyttenhove (Am. J. Phys. 74, 670-676; 2006)は、アインシュタインが愛情を込めてMaschinchen(マシンちゃん)とよんだこの装置の仕組み(写真)を詳しく調べた。
1908年にアインシュタインが提案し、後に彼の友人であるHabicht兄弟が制作した装置は、6段の回転プレートを使用している。まずプレートに誘導充電を行い、その電荷を蓄電池に送る。その結果、数回転後には初期電位が増倍される。原理的に、0.5ミリボルト程度の低い電圧が測定可能であり、これによって例えば、光電効果を確認することが可能であった。しかし、この装置は干渉電位の影響を受け、商業的にも科学的にも成功には至らなかったが、それでもアインシュタインのMaschinchenの魅力は衰えない。
重量制限で

重い原子核は核分裂しやすい。しかし、いわゆる魔法数原子核のように崩壊に対して特に安定した、陽子数が100を超える原子核が存在する可能性があるのだろうか。超重原子核の決定的な理論モデルは、まだ確立されていない。したがって、R D Herzbergら(Nature doi:10.1038/nature05069; 2006)が示した実験的洞察は、どの程度の重さの原子核が存在しうるのかを理解する手がかりとなり、大いに歓迎される。
Herzbergらは、ノーベリウム254の崩壊を観察した。102個の陽子をもつこの原子核において、1時間当たり原子200個の比較的高い生成率が達成され、それによってほかの原子核では得られない崩壊経路の詳細が明らかにされた。さらに、著者らは、2f5/2陽子軌道をもつノーベリウム254原子核の励起構造の証拠を発見した。これは、ある理論モデルによって予測された殻エネルギーギャップの上に存在するため、特に興味深い。これらの実験データは、原子核の理論がさらに発展するためのベンチマークとして役立つはずである。
微調整
フォトニック結晶微小空洞内の量子ドットは、単一光子あるいはもつれ光子対の効率的な発生源となる可能性がある。しかし、量子ドットの成長にはランダムな性質があるため、微小空洞の光学モードに対する量子ドットからの光のスペクトル配列は、そのようなデバイスを作成するうえでの大きな課題となる。温度を変化させるとスペクトルをわずかに調整できるが、デコヒーレンスの導入という犠牲が生じる。さらに、フォトニック結晶中の欠陥は完ぺきに縮退したモードを分離できるが、偏光もつれ光子を生成する可能性が失われる。
K Hennessyらは、製造後に調整する新しい方法を見つけ出した(Appl. Phys. Lett. 89, 041118; 2006)。原子間力顕微鏡のチップを用いて空洞の表面を選択的に酸化させることによって、分離したモードの1つを青方偏移させることに成功し、それによって縮退を回復させることができた。さらに、4 nmまで両モードをほぼ連続的にスペクトルシフトさせることができた。これにより、単一の量子ドットからのスペクトルの狭い発光に調節することが可能となり、もつれ光子の効率的な固体素子発生源の実現に一歩近づいた。
