HIGHLIGHTS
光の速度にcを使う
最初にcを使ったのは

我々の誰もがE=mc2を知っているし、cが何を表すかも知っているのは言うまでもない。しかし、なぜあらゆる文字の中で「c」なのか。K Mendelsonが、この記号の物語を明らかにする(Am. J. Phys. 74, 995-997; 2006)。
このような場合におけるcという文字の使用は、ウィルヘルム・ウェーバー(写真)が電荷単位の比率を表すために使った1852年までさかのぼることができる。電荷単位は、2つの静電荷間の力あるいは2つの電流要素間の引力によって決定される。前者の方法は真空の誘電率(ε0)を、後者の方法は真空の透磁率 (μ0)を伴う。そして、これら2つの要素を使って光の速さを表現できることがすぐに判明した。
ウェーバーがcという記号を選択した理由はいまだ不明であるが、ほかの表記法に勝ったのがウェーバーのcである。敗れた表記法の中で最も有名なものはマクスウェルが考え出した「V」で、アインシュタインも自身の最も有名な公式を紹介する1905年の論文の中で使用している。1907年になってやっとアインシュタインは自身の習慣を変えて、Vの代わりにcを使用し始め、やがてVではなくcが一般的に用いられるようになった。
異種金属でできた鎖
「細い」ワイヤーの概念は、極限まで拡張できる。2つの金属電極間の接点をほんの少数の原子でできた短い鎖になるまで機械的に伸ばすことによって、わずか原子1個分の太さのワイヤーを作製できる。
そのような原子の鎖は、単一の金属でできた純粋な系では研究されているが、異なる種類の原子を数珠つなぎにできるであろうか。J Bettiniらは、原子レベルになっても実際に合金化できることを示した(Nature Nanotech. doi:10.1038/nnano.2006.132; 2006)。
Bettiniらは、金と銀の合金から原子ワイヤーを作製し、金属電極間にかかる主として3つの原子からなる鎖を作製した。透過電子顕微鏡写真およびシミュレーションによって、鎖の原子のうち2つは銀であり、1つは金であることが示された。多くの物質がナノスケールでは不純物を排除することが知られているので、これは意外な結果である。
ヘリウム3存在量の収斂
ヘリウム3は非常にわずかしか存在せず、高価である(クローズドサイクル3Heクライオスタットから誤って漏らしたことのある人ならご存じだろう)。宇宙でのその相対存在量は約0.001パーセントであり、ビッグバンの数分後から変わっていない。
ところで星の進化モデルによると、低質量星(最大で2太陽質量)では水素の融合により3Heと4Heの両方のヘリウムが生成される。重いHeが重力により核のほうに引き寄せられて熱くなると、水素の外殻が形成されヘリウムを生成し続ける。核が十分に高温になると、ヘリウムが融合して炭素となり、新しい炭素の核ともう1つの殻層が形成される。大きな星はこの過程を継続でき、炭素が融合してネオンに、ネオンが酸素に、酸素がケイ素に、そしてケイ素が鉄になる(さらに重い元素を作るには超新星の炉が必要である)。その間ずっと、最外殻は3Heを生成し続ける。それにもかかわらず、存在量はかなり安定している。
P Eggletonらは、その理由がわかったと考えている(Science doi:10.1126/science.1133065; 2006)。彼らは、低質量星の三次元流体力学シミュレーションを行って、星での元素合成とビッグバンでの元素合成を一致させた。その結果、ヘリウム核のすぐ外側で、予期しない混合メカニズムによって3Heがわずかに減少した泡が表面に向かって発生することが発見された。やがて、生まれたての3Heは乱流混合領域に入り燃え尽きる。
水平原子レーザー
コヒーレントで集束した物質波ビームを発生する原子レーザーには、2つの要素が必要である。すなわち、ボーズ-アインシュタイン凝縮体(BEC)を形成する原子トラップおよびトラップ内に捕らえられた原子の一部の漏出を制御する手段である。後者は一般に、高周波電場を用いてBECに摂動を起こすことにより達成される。これにより原子の一部がトラップから抜け出し、重力により垂直に落下する。残念ながら、自由落下する物質波は加速されて波長が連続的に短くなるため、原子干渉法や関連する応用での使用が制限される。BECから取り出した物質ビームの運動を、ひいてはその波長を制御するために、W Guerinらは原子導波管と結合することによってビームを水平に放出する原子レーザーを開発した。これは、従来のレーザー光と光ファイバーの結合とまさに類似している(Phys. Rev. Lett. 97, 200402; 2006)。
正方形の隅
© JOHN HAYES
高出力の生産加工用レーザーが発生した光を誘導するには、従来の収束光学系ではなく、光ファイバーを使用したほうが多くの利点がある。最も明らかな利点は、作業者が被曝して傷害を受ける可能性が減ることである。多くの産業応用では、終点のレーザー・スポットの理想的な強度分布は、スポット端の強度がゼロから一定値まで急激に上昇するシルクハット形である。また、スポットの理想的な形は正方形である。この目的を達成するため、J Hayesらは、気孔に囲まれ、シリカの保護ジャケットに入った正方形のシリカコアできた光ファイバーを作成した(Opt. Express 14, 10345-10350; 2006)。ファイバーの出口に複雑なビーム整形光学系を必要とせずに、透明な導電膜に正方形の平らな穴を開けることによって、単純な構造であるにもかかわらず、この構造体(写真)の性能がすばらしいことをHayesらは実証した。
