HIGHLIGHTS
ピンチ、スイッチ、収束、ジャンプ
光子のジャンプを捉える
量子系は揺らいでいて、状態間を不規則に飛び移るが、これは閉じ込められた電子やイオンなどの質量をもつ粒子で実証されている。しかし、光子をその場で捉えるには、とりわけ精巧な非破壊的方法が必要である。
S Gleyzesらは、ニオビウムミラー共振器(上図C)における熱揺らぎと緩和によって、光子数nの0~1の揺らぎを観察できる干渉計を考案した。
ルビジウム原子は、箱Bの中で円形リュードベリ状態に調製されており、900 Hzの速度で共振器を横断する。ラムゼー共振器R1(マイクロ波源Sによって給電されている)内部で、原子はeおよびgとして知られる2つの円形状態の重ね合わせになる。共振器Cはe-g遷移と共鳴するように調整されている。原子が1つずつCを通過して獲得した重ね合わせ状態の位相は、第2のラムゼー共振器R2とカウンターDによって調べられる。R1とR2内の場の相対的な位相は、状態gの原子が観測されることがn=0すなわち共振器が空の状態に対応し、eがn=1となるよう設定される。。
キュービットのスイッチ
将来の量子コンピューターのデータ媒体であるキュービットは、二重生活を送らなければならない。キュービットは周囲から完全に孤立して情報を記憶できるべきだが、他のときには他のキュービットと強く相互作用して情報処理に必要な論理ゲート演算を行う必要がある。D Hayesらは、極低温の中性原子の核スピンを使用して、そのような孤立した状態と社交的な状態の間を切り替えることができる可能性があると考えている。
量子的な性質が現れるのに十分に温度の低い中性原子系は、量子情報処理用の候補系である。原子は衝突によって互いに相互作用し、このプロセスは電子的相互作用によって支配されている。核の性質は直接かかわらないが、フェルミオン原子核(半整数スピンをもつ原子核)においては、パウリの排他原理によって、平行スピンをもつ原子が互いに接近することが妨げられて衝突が効果的に抑制される。しかし、逆平行配位では、相互作用が可能である。したがって、NMR技術を用いて核スピンを反転させることにより、望まれていた原子間相互作用の切り替えが可能になる。
ひとつまみの中性子
© 2007 AIP
中性子ビームは、非侵襲的イメージングや物質の特性評価から医療用同位元素の生産までさまざまな応用に役立っている。残念ながら、十分なエネルギーと強度をもつ中性子を発生させるには、原子炉か粒子加速器が必要である。しかし今回、「Zピンチ」として知られる装置を使用して、熱核融合反応による中性子の発生に向けて前進したことを、2つのグループが報告している。
Zピンチは細い金属線のメッシュからなり、金属線に数十メガアンペアのパルス電流が流れる。このパルス電流により、金属線は蒸発して収縮し、つまりピンチして、密度の高い高エネルギープラズマを形成する。このようなプラズマに注入された重水素原子や三重水素原子の核融合によって中性子を生成する可能性は50年以上前に提案されている。シミュレーションと実験は、有用な中性子フラックスをすぐにも発生できる段階まで、この技術がようやく成熟したことを示している。
収束して偏光させる
偏光は、光を実用的な目的で利用するほとんどの場合に有用な特性である。顕微鏡においては、偏光を利用してコントラストを生じさせたり、光学活性物質の組成や配向を決定したりする。電気通信においては、情報が光ファイバーを通って伝搬する速度を制限できる。これまで、偏光は光学的異方性材料から作られる偏光フィルターを使用して制御されていた。しかしK Lindforsらは、何もしなければ偏光しない光線を、収束させるだけで偏光できるという意外な結果を示した。
彼らは、強く収束させたレーザービームを油中に懸濁した金ナノ粒子によって散乱させることにより、これを示した。以前の実験では、そのような散乱は光場の局所的偏光を調べる効果的な手段であることが示されている。彼らの結果は、理論的な予測と一致しており、生じた光が約100 nmの距離の間で非偏光からほとんど完全な直線偏光に変化したことを示唆している。これは、ナノ光学の新分野に大きな影響を与えるであろう。
NMRで因数分解
スピンで計算するといえば、すべての目が量子の魔法に注がれることが多い。しかし、M Mehringらは、スピンがもつれを引き起こさずに面白いことができることを示した。彼らは、スピン集団として淡水を使用して、NMRプラットフォーム上で数字を因数分解する「物理」スキームを実行した。
Mehringらのアルゴリズムは、ガウス和を使用して整数を因数分解する。ガウス少年は、先生が1~100までの数字をすべて足すよう言ったとき、直ちに正解の5,050を得たという。彼は、問題は(100+1) + (99+2) + …と手際よく公式化でき、単に50×101となることを発見したのである。Mehringらは、そのような和の周期性を使用した。一連の高周波パルスをスピンに照射した後では、平均NMR信号は、整数を因数分解した因数である数字とそうでない数字とでは異なる。最初の例として、157,573が正確に因数分解されたが、この方法はずっと大きな数字にも拡張できると思われる。
