HIGHLIGHTS
無いものを見ることができる!
プラグを抜かれた太陽
およそ11年ごとに、太陽の磁極は激しい太陽活動の真っ最中に位置を切り替える。太陽彩層(太陽表面とコロナの間の層)の磁場の強い領域は、ジェットという特徴がある。太陽の活動期には、発生場所によって、スピキュールあるいは動的フィブリルと呼ばれるジェットが生じることが知られている。しかし、静穏期でも何らかの活動があり、磁束密度の高い領域の近くに黒っぽい斑点が現れる。
これらの動的な特徴には関連があると考える人は多いが、説得力のある証拠がなかった。解像度の高い空間的・時間的測定を行って、L R Voortらは、静穏期の太陽の斑点をその短い寿命を通じて追跡した。ジェットの減速率、最大速度、および放物線軌道から、対流と振動が磁力線に沿って彩層に入り込むときに生じた音響衝撃波によって斑点の一部が動くことが示された。これは、活動期に起こるよく似た動的フィブリルの背後にあるメカニズムと同じである。
見えないものは見えない
高エネルギー物理学では、検出器は粒子の目に見える形跡、つまり通過した飛跡や残したエネルギーを記録するように設計されている。しかし、実験は目に見えないものにも影響を受ける可能性がある。高エネルギー加速器研究機構のO Tajimaらは、Belle検出器を用いて目に見えないものを探索し、暗黒物質の存在を示唆する結果を得た。
KEKB加速器の内部で、電子と陽電子は既知のエネルギーで正面衝突する。衝突後の破片のエネルギーや運動量の非保存は、不可視粒子が生成されたことを示している可能性がある。このような場合に不可視粒子として唯一知られているのはニュートリノであるが、暗黒物質の候補粒子である超対称性ニュートラリーノも存在する可能性があり、それが十分に軽い場合は、KEKB衝突で生成されることもありうる。
Tajimaらは、ボトムクォークと反ボトムクォークからなるϒ(3S)として知られる粒子1,100万個のϒ(1S)への崩壊を分析した。ϒ(1S)は、その後、不可視粒子に崩壊する可能性がある。彼らは、崩壊の見えない破片は小さすぎるため、ニュートラリーノの質量がボトムクォークより小さいという仮説に合わないことを発見した。
押しの強い光子
強いレーザービームは、2つの液体間の界面を変形できる。ビームが屈折率の高い方から低い方へ下向きに通過すると、上側の液体のジェットが下側の液体に流れ込み、液滴の軌跡が残る。しかし、ビームが反対方向に進むと、界面に上向きの歪み(幅の広いこぶ)が生じ、中央下向きの連続的な細い「テザー」が残る。
R Schrollらは、大規模な流体の流れによってこの効果が説明できると考えている。混和性境界を示す臨界相転移に近い液体では、2相間の揺らぎが大きく、光を散乱する。幅の広いこぶについては、散乱によって液体を界面に押し付ける上向きの力が生じるが、質量流量が保存されるため下降流が発生する。その結果、液体に環状の再循環流が生じ、幅の広いこぶの形を定量的に説明できる。ジェットはより複雑であるが、彼らのモデルから、ジェットの大きさや輸送流を合理的に見積もることができる。
ニュートリノニュース
否定的な結果かもしれないが、フェルミ研究所(シカゴ)のMiniBooNE実験から得られた最初のデータは、素粒子物理学の十年来の論争を解決した。
1996年に、LSND(liquid scintillator neutrino detector:液体シンチレータニュートリノ検出器)実験により、3種類のニュートリノ、つまり電子ニュートリノ、ミュウニュートリノおよびタウニュートリノが互いに変化するというニュートリノ振動の概念を裏付けるデータが得られ、ニュートリノが質量をもっていることが示唆された。しかし、LSND実験のデータは、スーパーカミオカンデやカナダのサドベリーニュートリノ天文台(SNO)など、他の実験によって得られた証拠が増えるにつれて、旗色が悪くなった。ニュートリノの質量を示唆する範囲には、一貫性がなかったのである。LSND実験のデータに何か問題があったのであろうか。それとも、問題があるのではなく、3種類以上のニュートリノがあることを示唆しているのであろうか。
MiniBooNE実験(提案されたブースターニュートリノ実験(BooNE)の縮小版)が開始され、今回、LSND実験の結果の巧妙なクロスチェックが行われた。MiniBooNE実験では、LSND実験で報告されている信号と一致する信号は観測されなかった。「LSND異形」は存在せず、(少なくとも今のところ)3種類のニュートリノしかないように思われる。
歩き方から識別する
PYTHON PICTURES/RGA
安全な設備への出入りを管理する最先端技術のシステムは、指紋読取装置や虹彩スキャナーを連想させる。歩き方から人を認識するシステムはまず思い浮かばないであろうが、J-S Fangらは、まさにこれを行う簡単なシステムについて報告している。
彼らのシステムは、マルチエレメントフレネルレンズアレイを搭載し、パソコンに遠隔接続した焦電型赤外線センサーからなる。人が装置の前を通り過ぎると、この装置は時間的に変化する熱的特徴を記録する。熱的特徴はその個人特有のもので、人が何度前を通っても驚くほど変わらない。このシステムは、主成分分析アルゴリズムを使用して検出器からのデータを処理しており、4人の被検者の歩き方を認識し、80%の成功率で見知らぬ他人と被検者を識別することができた。
