HIGHLIGHTS
尺度の基準
惑星波
RETO STÖCKLI/ROBERT
SIMMON/MODIS
地球の大気は、季節変動だけでなく短い時間スケールの変動も示す。30~60日の周期で変動する熱帯降雨量は、季節内振動の一例である。降雨量の増減は、主としてインド洋や太平洋に影響を及ぼすが、さらに離れた地域の天候にも影響を及ぼす。例えば北アメリカでは、冬に大雨や洪水がもたらされる場合がある。地球規模の複雑な現象については、多くの謎が残っている。E KartashovaとV L'vovは、波を用いた方法でその謎のいくつかに取り組んだ。
KartashovaとL'vovのモデルは、相互作用をする惑星波、特に、各々3つのモードからなる4つの共振クラスターの相互作用に基づいている。モデルは地球の地形とは無関係であるため、彼らの解により季節内振動が南北両半球に影響を及ぼす理由を説明できる。さらに、報告されている別の周期性の原因だけでなく、そのような振動が冬に多く観察される理由も説明できるが、気象を予測できるかどうかは今後の課題である。
遠いようで近い
量子もつれを利用すれば、2者間で秘密のメッセージを理論上は絶対に安全に伝達できる。量子もつれを用いた量子通信スキームがいくつか提案されているが、実用的な量子ネットワークの構築には細心の注意を要する。今回C-W Chouらは、DLCZスキームという長距離量子通信用として最も有望なスキームの実現に必要な物理資源の獲得に向けて前進したことを報告している。
光子は量子ネットワークを通じて量子情報を伝達する最有力候補であるが、光ファイバーが不完全であることは避けられず、送信者と受信者の間の距離が大きくなると、通信効率が指数関数的に減少する。DLCZスキームは、光ファイバー内の信号の減衰で決まる距離よりも長い距離に量子通信を拡張する方法を説明している。このスキームの重要な要素は量子ノードで、量子状態は光子と原子集合の間にマッピングされている。Chouらは、3メートル離れた2つのノードからなるDLCZネットワークの機能セグメントの操作を本質的に実証し、機能セグメントの間にもつれ状態を分配できた。
異方性による骨の強化
しなやかさ、強さ、硬さなど骨の優れた特性の多くは、骨が単一の均質な物質ではなくさまざまな物質や構造の複合体であるために生じることはよく知られている。しかし、骨の微視的異方性がこれらの特性をもたらす仕組みは正確にはよくわかっていない。
K Taiらは、原子間力顕微鏡を使用して、骨の硬度の複雑なナノスケールの変動を発見した(写真)。意外にも、これらの変動が骨自体の特定の組成や構造の変化に対応しているようには思われない。それでも、Taiらはこの結果を使用して、これらの変動がエネルギーを散逸させ、均質な物質中で生じるより大きな延性や強度を与える仕組みに関する妥当性のあるメカニズムを示すことができた。
科学者の尺度
J Hirschは、特定の科学者の研究成果を評価する客観的な測定基準を提案した。例えば、少なくとも30回引用された論文を30件発表している場合、その科学者のh指数は30となる。Hirschは、h指数が100に近い有力な著者に関する研究で、自己引用数、すなわち著者自身の研究での引用数はほとんど寄与しないことを示した。したがって、h指数は強力で公平に思われた。以来、この概念はトピックの影響を評価するために適用され、雑誌の影響の評価にすら用いられている。
しかし、h指数を操作することは可能だ。M Schreiberは、16人の(比較的)若い研究者について自己引用の補正を行い、彼らのh指数が10~46%下がることを明らかにした。したがって、自身の研究を引用すると、h指数を高くすることができる。もちろん、自己引用は完全に正当である場合もあるが、論文の真の影響を反映しておらず、勘定に入れるべきでないとSchreiberは主張する。この補正法が考慮に入れられるまで、特に若い科学者が仕事や研究助成金を求め、引用記録を厳しく精査する際は、このような評価法は注意して使用すべきであると、彼は述べている。
窮屈な余剰次元
重力はなぜこんなにも自然の他の力より弱いのか。我々の四次元の世界では、重力が他次元に漏れるために、その効果が弱められているのかもしれない。そのような余剰次元は、量子重力の「ブレーンワールド」モデルの一部である。しかしながら1798年のキャベンディッシュの実験から始まったねじり秤実験により、ニュートンの逆二乗則が数十マイクロメートルの距離まで確かめられ、余剰次元の大きさが同程度の距離に絞り込まれた。D Psaltisは、同様のレベルの感度に達したが、方法は全く異なる。
Psaltisは、ブレーンワールドにおいて余剰次元での反ドジッター空間の曲率とブラックホールの寿命の間に得られる関係を使用した。彼は、ブラックホールXTE J1118+480の天体物理学測定から、その力学的年齢の下限(1,100万年、信頼度95%)を算出した。これから、余剰次元の大きさの上限は80 μmになるが、この上限はブラックホールのデータを改善することでさらに絞り込まれる可能性がある。正確に測定された「理想的」なブラックホールでは、上限は6 μm程度に絞られる可能性があると、Psaltisは述べている。
