HIGHLIGHTS
あれも量子、これも量子
それはいったい何?
過去20~30年の間に多くの量子現象が調べられたが、例えば粒子がどんなに離れていても絡み合った粒子の測定値に相関があることなど、基本概念を直観的に理解できるようにはまだなっていない。これがC Branciardらによる最近の研究の出発点であり、古典的なポパーの反証主義によって、量子力学についてさらに多くのことが明らかになった。
なぜ量子がそのようにふるまうのか理解するため、物理学者たちは量子力学と特性を共有する包括的な理論を考案し、「真の」量子力学との適合性を実験的に検証している。最も有名な例はベルの定理の検証であり、粒子が共通の源から生じる際に刻み込まれた「局所的な隠れた変数」によって測定結果が決定されるために非古典的な相関が生じる可能性が否定された。
別の種類の理論は、非局所的な隠れた変数を仮定する。Branciardらは、T Leggettによって2003年に提案されたそのようなモデルの1つについて調べ、これも実験結果と矛盾することを実証し、量子力学が実際に働く仕組みに関する可能性をさらに限定した。
行方不明の結晶構造
量子化学では、分子構造内の電子やイオンの量子力学的な応答を、そのふるまいについて特別な仮定を置かずに記述する高度なアルゴリズムの開発に本質的に焦点が当てられている。コンピューターの処理能力の増大と相まって、さらに複雑な分子のダイナミクスを予測することが初めて可能になった。しかし、ほとんどのアルゴリズムは原子集団の初期配列を仮定してから始めなければならないため、組成のみがわかっている物質の基底状態の構造を、自信をもって予測することはできなかった。
G Hartは、構造が幾何学的に単純であるほど、基底状態になる可能性が大きいという仮定を選択した。この方法の可能性を実証するため、さまざまな化学組成について取りうる構造のリストを作成し、公表された文献を検索してそれらの存在を探した。その結果から、観察されている多くの構造が正確に同定されただけでなく、観察されていない構造が存在する可能性も示唆される。
マゼラン流の電離
ガスの乱流であるマゼラン流は、地球に最も近い銀河である大マゼラン星雲(写真)と小マゼラン星雲を通って銀河系へ流れている。マゼラン流が中性水素の他に電離水素を含んでいることは、20年以上、研究者にとって謎であった。例えば、ガスを電離する近距離恒星はない。さらに、マゼラン流は不均一で、クランプや圧縮フロントがあり、最も明るい電離発光が中性星雲の前縁部で生じている。
J Bland-Hawthornらは、これらの観測結果を矛盾なく説明できる流体力学モデルを示した。銀河系の境界には、低温の恒星と高温のガスでできた球状の銀河ハローがある。ハローの希薄なガスだけでは、星雲の中の衝撃波を説明できない。しかし、Bland-Hawthornらは、ハローガスによってもガスの流れが乱れると考えている。減速したガスは上流の流れをせき止める。ハローガスの後ろにある星雲がこのガスに衝突し、「衝撃カスケード」の下流にガスアブレーションや衝撃電離が生じ、我々の銀河系へのガスの降着が起こる。
キュービット品質の定量化
捕獲されたイオンから超伝導回路まで、多くの物理系が量子情報処理装置のプラットフォームとして提案されている。情報は、一般的に重ね合わせ可能な(これは古典的なビットでは不可能である)量子状態の対に符号化される。しかし、多くの量子系がキュービットの定義に使用されるよりも多くの状態をもち、これらの状態への漏れによってキュービットの品質と有用性が低下する。
漏出プロセスの詳細は、考えられているプラットフォームに特有である。しかしそれでも、さまざまな物理系を使用して実装されたキュービットを比較する方法はないのだろうか。S Devittらの答えはイエスである。Devittらは、2つのキュービット状態間の振動に関する包括的な実験に基づいたプロトコルを提案した。彼らは、そのような基礎実験で得られたデータのフーリエスペクトルによってキュービットの構造とその制御法にほとんど依存しない一般的な特性を明らかにでき、したがって、さまざまな系で「品質管理」に使用することができると考えている。
利用可能な体積を大きくする
非侵襲性の低い胎児のイメージングが最も一般的に知られている超音波の使用法であるが、手術にも使用できることはあまり知られていない。収束して十分な強度にすると、超音波は生体組織を局所的に急速加熱し、細胞を凝固させることができる。これは、焦点から離れた正常組織に損傷を与えずに、超音波ビームアレイの焦点を当てた癌細胞が破壊されることを意味する。しかし、現在の技術では、焦点体積が小さく曝露時間が長いため、この方法は直径4 cm未満の腫瘍に限られている。
D Melodelimaらは、超音波手術の適用範囲を広げられる可能性のある装置を開発した。この装置は、8つの同心リングに並べられた32個の独立して制御されるトランスデューサーから成る。Melodelimaらは、リングを次々に駆動することによって周辺組織への曝露を最小にしつつ焦点での強度を一定に保った。総暴露時間40秒で平均8.6 cm3の体積を治療できた。
