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細胞アイデンティティーの調節因子を予測する
動物では発生が進むにつれて、数千個あるいは数兆個の細胞が存在していても、個々の細胞は、多くの可能な細胞アイデンティティー(cell identity:その細胞固有の形質)の中から1つを採用するようにプログラムされなければならない。このプログラム化は、一群のタンパク質とそれらをコードする遺伝子によって制御されており、これらはまとめて発生調節因子として知られている。このほどワシントン大学医学系大学院(米国ミズーリ州セントルイス)の神元健児(かみもと・けんじ)ら1は、個々の発生調節因子のレベルが変化した場合、細胞アイデンティティーはどのように変化するかを予測するための計算手法を、Nature 2023年2月23日号742ページで報告している。この系統的な手法は、研究を進める上で最も適した調節因子を決定するのに役立つと考えられ、貴重な資源を節約でき、これまでは見逃されていた生物学的現象が示される可能性があると期待される。
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翻訳:三谷祐貴子
Nature ダイジェスト Vol. 20 No. 5
DOI: 10.1038/ndigest.2023.230546
原文
An oracle predicts regulators of cell identity- Nature (2023-02-23) | DOI: 10.1038/d41586-023-00251-6
- Jeffrey A. Farrell
- NIH国立小児保健・人間発達研究所 (米国メリーランド州ベセスダ)に所属
参考文献
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