2016年11月号Volume 13 Number 11
ポリマーの可能性は無限大!
私たちの生活に不可欠なナイロンやポリエチレンは、単一の小さな分子が鎖状につながった巨大な分子で、高分子(ポリマー)と呼ばれる。ポリマーは今日では見事な発展を遂げているが、その概念が受け入れられるようになったのは1930年頃だ。どこにでも使われているが故、環境問題を引き起こしてもいるが、その解決策として期待されているのはバイオベースの「ポリマー」であり、さらには、薬物送達分子やデータ記憶装置としての開発も進められている。
Editorial
News in Japan
News
アルツハイマー病新薬候補で認知機能低下が鈍化
アミロイドβ仮説に基づくアルツハイマー病治療薬候補の小規模臨床試験で、認知機能低下の鈍化が観察された。現在、大規模な研究によりこの有望な初期データが裏付けられるか調査中である。
ゾウの進化史が書き換えられる?
絶滅したゾウのゲノムから、思いもよらない類縁関係が明らかになった。どうやらゾウの系統樹を再検討する必要がありそうだ。
37億年前の「生命の痕跡」を発見か
グリーンランドの岩石から発見された構造物は、37億年前の生物によって作られたものだとする研究結果が報告され、論争が巻き起こっている。
人工ブラックホールで「ホーキング放射」を確認
実験室で作り出された「音のブラックホール」で、ホーキング放射に極めて近い現象が観察された。
次のLHCを建設するのは誰?
ヒッグス粒子を発見した大型ハドロン衝突型加速器(LHC)の後継になる次世代の巨大加速器を、誰がどこに建設するのか。明確な見通しは立っていない。
宇宙の謎を解くカギ、ニュートリノ
ニュートリノと、その反粒子である反ニュートリノが異なるふるまいをすることが確認されれば、現在の宇宙に反物質がほとんど存在していない理由を説明できるかもしれない。
太陽系から最も近い恒星に、地球に似た惑星
プロキシマ・ケンタウリの周りを公転する地球サイズの惑星には、液体の水があるかもしれない。もしかすると生物もいるかもしれない。
ヒトと動物の「キメラ」研究が米国で解禁に?
米国立衛生研究所は、ヒトと動物のキメラを扱う研究プロジェクトへ資金を提供する方向に動き出した。
公開データは自由に再利用してよいか?
データをネット上に公開する科学者も、公開データを再利用したい科学者も、知的財産権について最低限の知識を持っておく必要がある。
ジカ熱を相手に善戦するキューバ
キューバは、カリブ海地域でジカ熱の蔓延を何とか食い止めている国の1つだ。国民総出の地道な努力が成果を挙げている。
News Feature
ポリマーの可能性は無限大!
プラスチックに代表されるポリマーは、現代生活のほぼ至る所に浸透している。その可能性はまだまだ底知れない。
Japanese Author
標的遺伝子だけオンに! エピゲノム編集登場
2012年に登場するやいなや、世界中で使われるようになったゲノム編集技術CRISPR-Cas9。狙ったDNA配列を簡単に操作できることから、DNAの修飾状態を改変する「エピゲノム編集」への応用も期待されている。今回、群馬大学 生体調節研究所の畑田出穂教授と森田純代研究員は、狙った遺伝子のスイッチだけをオンにするDNA脱メチル化技術を完成させた。
News & Views
シナプスの要、ナノカラム
シナプス前部にある神経伝達物質分子を放出する領域と、それを捕獲するシナプス後部の領域をつなぐ「ナノカラム」構造が発見された。シナプス間隙をまたぐこの構造は、シナプスの組織化と調節の機構についての手掛かりを与えてくれる。
完全にソフトなロボット
タコ型ロボット「オクトボット」が開発された。これは、完全に柔らかい材料だけで作られた最初のロボットだ。化学反応で動力を得て、流体論理回路で制御されている。これまでの機械を超える可能性のある、「ソフトロボット」時代の幕開けを告げるものだ。
News Scan
乳房にマイクロバイオーム
乳がんリスクを左右している可能性も
クローン動物短命説は誤りだった
初の厳密な検証が行われ、通常の動物と同じであることが判明した