2019年1月号Volume 16 Number 1

数の力で健康リスクを予測

1人1人の1塩基レベルの違いから疾患リスクを予測し、それを健康予測に用いる取り組みが始まっている。ただし1塩基の変異がもたらすリスクは極めて小さく、因果関係を導き出すには大規模な標本集団が必要だ。英国やエストニアなどではバイオバンクを設立し、その試料を基に多遺伝子性スコアを導き出して疾患のリスク予測を行っている。その過程で、予測スコアの評価対象や、遺伝子カウンセラー不足などの課題が浮かび上がってきた。

Editorial

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Publishing Academy

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Research Highlights

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News

試験的な治療により、3人の脊髄損傷患者が脚の筋肉の制御能を取り戻したことが報告された。ただし、効果が証明されたのは今のところ、運動機能がいくらか残存している患者のみだ。

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IPCCは最新の報告書で、地球の気温はすでに産業革命以前から1℃上昇していて、1.5℃を超えると何が起こり、それを避けるためには炭素排出の習慣をどう改める必要があるかを具体的に示した。

自動運転車に求められる倫理則は、国や地域によって異なるようだ。ドライバーの道徳的原則に関する世界規模の調査がそれを示している。

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News Features

研究のために市民の力を借りる市民科学プロジェクトはますます大規模かつ多様になってきているが、成長の余地はあとどのくらいあるのだろうか?

ヒトゲノムの構成に基づく健康予測は大きく前進している。しかし、こうした予測の指標の1つとして使われ始めた多遺伝子性リスクスコアについては、まだ大いに議論の余地がある。

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Japanese Author

骨は、破壊・吸収と新生をバランスよく行うことで、構造と機能を保っている。これまで、こうした骨代謝のカギは「骨細胞由来の生理活性物質(RANKL)」から「破骨細胞にある受容体(RANK)」へのシグナル入力にあるとされてきた。今回、東京大学医学部附属病院 薬剤部の本間雅講師らは、従来とは逆向きのシグナル伝達、すなわち、破骨細胞のRANKがリガンドで、骨芽細胞のRANKLが受容体として機能する経路があることを明らかにした。さらに、この経路が骨芽細胞の分化成熟と骨形成に寄与していることも突き止め、骨粗しょう症の新たな創薬ターゲットになる可能性を見いだした。

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News & Views

血管の内側を覆う細胞の供給源は、これまで1つと考えられてきたが、そうではないようだ。発生の初期段階で直接中胚葉から生じる既知の経路以外に、胚の血液細胞の前駆細胞からも生じ得ることが分かった。

高温で動作する高性能な新材料が作製された。セラミックスと金属からなるこの画期的な複合材料は、次世代発電所の開発に有用で、化石燃料への依存を断ち切るための足掛かりとなる可能性がある。

ボース・アインシュタイン凝縮体と呼ばれる変わった超低温気体が、初めて宇宙空間で生成された。宇宙での生成は、地上での生成よりもさらに低い温度を実現できるなど、さまざまな利点があり、この気体は宇宙を超高精度で調べる量子センサーにもなりそうだ。

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News Scan

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