【疫学】アジアでの鳥インフルエンザA(H7N9)の感染リスク予測
Nature Communications
2014年6月18日
重要な疾患である鳥インフルエンザ(H7N9亜型)の感染リスクの高い地域をアジア全土で特定する統計モデルが作製された。このモデルは、現在行われている監視と蔓延防止のための活動に役立つ可能性があると考えられている。詳細を報告する論文が、今週掲載される。
中国では、これまでに鳥インフルエンザ(H7N9亜型)の流行の波が2回起こっており、大部分のヒト感染例は、活家禽市場(生きた家禽を売る市場)でインフルエンザに感染したニワトリと接触したことが原因だと考えられている。新型H7N9の流行可能性は、公衆衛生上の重要な問題である。ただし、家禽のH7N9亜型感染の影響が軽微で、アジア全土の動物病院が利用できる情報の少ないことが、活家禽市場の積極的な監視の妨げになっていた。
今回、Marius Gilbertたちは、中国国内の活家禽市場の全数調査をまとめ、ヒトと家禽について確認されたH7N9亜型感染例に関する最新の記録をまとめた上で、これらのデータとさまざまな地理的パラメーターと環境パラメーターを利用して、中国国内の活家禽市場でのH7N9亜型の感染リスクを正確に予測する詳細な統計モデルを作製した。そして、このモデルをアジア全土に外挿したところ、これまでにH7N9亜型感染が発見されたことのない中国の特定の都市部、ベンガル地方の広範な地域、ベトナムの大河川デルタ地域、インドネシアとフィリピンの一部で感染リスクが最大となった。
今回の研究は、これまでより広範なデータセットと統計解析を用いて、これまでの研究を一歩進めたものであり、アジアでの監視システムの優先順位付けを容易にすると考えられる。
doi:10.1038/ncomms5116
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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