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アデニンのトランスバージョンを行うエディターは哺乳類の細胞と胚でA•TからC•Gへの正確で効率的な塩基編集を可能にする

Nature Biotechnology 42, 4 doi: 10.1038/s41587-023-01821-9

塩基エディターは、基礎研究でも、そして病原性変異を修正する治療薬としても、大いに期待されている。アデニンのトランスバージョンを行うエディターの開発は特に困難となっている。本論文では、A•TからC•Gへの正確な編集を含むアデニンの効率的なトランスバージョンを可能にする塩基エディター群を紹介する。マウスのアルキルアデニンDNAグリコシラーゼ(mAAG)とニッカーゼCas9およびデアミナーゼTadA-8eの融合体が、特定の塩基配列環境でアデノシンのトランスバージョンを触媒することが明らかになった。mAAGの実験室での進化により、AからC/Tへの転換効率は最高73%まで大きく上昇し、標的となる範囲が拡大した。さらなる操作により、AからCへのトランスバージョンを高精度で導入しながらCas9非依存性のオフターゲット効果は最小限であるアデニン・シトシン転換型の塩基エディター(ACBE)が得られ、その中には極めて正確なACBE-Qバリアントが含まれた。ACBE群は、マウス胚とヒト細胞株で5種類の病原性変異の高効率な導入や修正を行った。創始マウスでは、AからCへの編集率の平均は44~56%、アレル頻度は最高100%であった。アデノシンのトランスバージョンを行うエディターは、塩基編集技術の能力と潜在的用途を大幅に拡大させる。

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