Letter フルオラス親和性タグおよび質量分析法による特定ペプチド群の濃縮および分析 2005年4月1日 Nature Biotechnology 23, 4 doi: 10.1038/nbt1076 質量分析法は生物学的システムを機能的に解析するための強力な手段となっているが、完全なプロテオーム解析は未だ実現されていない。それどころか、生体がもつ高度な複雑性のため、標的を絞った分析を実現するには細胞抽出物を分画する必要がある。本論文では「フルオラスプロテオミクス」という概念を紹介する。これは、生物由来の試料に含まれる特定のペプチド群を過フッ素化基で標識した後、フルオラス官能性をもつ固定相による固相抽出で濃縮するという方法である。この方法はきわめて選択性が高いが、簡単な調整でさまざまなペプチド群の濃縮に応用することができる。さらにこの方法では、生物学的親和性を利用した従来型濃縮法がもつ制約の多くが解消されるとともに、生物学的親和性用の試薬では不可能であった親和性濃縮方式が新たに可能となる。この方法は、特定の官能性をもつ側鎖または翻訳後修飾を有するペプチドが、トリプシン分解した個別のタンパク質および全細胞溶解物から簡便に濃縮されたことによって、その将来性が示された。 Full text PDF 目次へ戻る