Article 迅速な表現型解析を可能にする遺伝子標的胚性幹細胞に完全に由来するF0世代マウス 2007年1月5日 Nature Biotechnology 25, 1 doi: 10.1038/nbt1263 遺伝子機能を検討するには、遺伝子を操作した胚性幹(ES)細胞から変異マウスを作製しなければならない。最近、ES細胞の遺伝子操作技術が発展し、このプロセスの問題点はマウス作製の段階に移行している。胚盤胞宿主にES細胞を注入する従来の方法では、部分的にしかES細胞に由来しないF0世代キメラが生まれるため、表現型解析を行う変異マウスを得るにはさらに交配を行わなければならない。4倍体相補法ではほぼ完全にES細胞に由来するマウスを直接得ることができるが、効率が低く、特定のハイブリッドES細胞株以外に用いることができず、非特異的な死亡や異常が生ずることから、表現型解析が複雑になる。本論文では、近交系ES細胞およびハイブリッドES細胞のいずれかを8細胞期の胚にレーザーで注入すると、得られるF0世代マウスは完全にES細胞由来で健康であり、100%の生殖細胞系伝達を示し、迅速な表現型解析が可能であることを示す。これにより、遺伝子機能の解明は大きく進展すると考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る