Article 絶対的タンパク質発現解析で転写制御および翻訳制御の相対的寄与率を評価する 2007年1月5日 Nature Biotechnology 25, 1 doi: 10.1038/nbt1270 今回我々は、大規模な絶対的タンパク質発現量測定法(APEX)を紹介するとともに、これを利用して酵母および大腸菌のプロテオームで転写および翻訳レベルの遺伝子制御の相対的寄与率を評価した。APEXでは、既知の確率を利用して各タンパク質の質量分析のサンプリング深さ(観測されるペプチド数)を補正することによってペプチドの同定を行う。APEXで測定された発現量は、対照、ウエスタンブロット法、フローサイトメトリー法、二次元ゲル電気泳動法の測定値と一致したほか、mRNA発現量およびコドンバイアスとの既知の相関関係とも符合しており、約3〜4桁の範囲で絶対的タンパク質濃度が得られた。APEXを用いることにより、酵母中のタンパク質量の変動の73%(大腸菌では47%)はmRNA量で説明されることが明らかになった。mRNA 1個あたりのタンパク質数は約5,600(大腸菌では540)付近で対数正規分布していた。このように、真核生物でも原核生物でもタンパク質濃度が全体のタンパク質濃度とは無関係にmRNA 1分子あたりの数値として求められ、酵母では遺伝子発現制御の70%以上がmRNA依存的なメカニズムで行われていた。 Full text PDF 目次へ戻る