Perspective

ゼノマウス技術からパニツムマブへ—遺伝子組換えマウス由来の初の完全ヒト抗体産物

Nature Biotechnology 25, 10 doi: 10.1038/nbt1337

治療用モノクローナル抗体は、マウス配列がヒトに対して免疫原性を示すため、有効性および安全性に限界があることがわかっている。この障害を克服するために開発された方法のひとつが、「ヒト化」液性免疫系で遺伝子操作した組換えマウスであった。その種の組換え系のひとつであるゼノマウスでは、抗体機構が機能しないマウスの生殖細胞系列にヒト免疫グロブリン遺伝子座をほぼすべて導入し、マウスでヒト抗体応答を再現することに成功した。ゼノマウス系統は、複数の疾患適応(多くは臨床開発が進行中)で標的に対する親和性が高い完全なヒト抗体を種々作製するために用いられてきた。しかし、この技術の妥当性の検証は、最近認可されたパニツムマブ(ベクチビックス)を待つこととなった。これは、上皮成長因子受容体(EGFR)に対する完全ヒト抗体で、進行結腸直腸がん患者の治療用として認可された。パニツムマブ開発の成功は、ヒト液性免疫系で遺伝子操作する組換えマウスおよびその将来の活用に関する画期的成果である。

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