Analysis

薬物−標的ネットワーク

Nature Biotechnology 25, 10 doi: 10.1038/nbt1338

ヒトのタンパク質間相互作用「インタラクトーム」のネットワークでは、薬物の標的タンパク質と疾病遺伝子産物との関係がすべて解明されているわけではない。本研究では、米国食品医薬局の承認薬とタンパク質とを薬物−標的の2項関連で結びつけた二部グラフを作成した。得られたネットワークでは、高度に相互接続した巨大成分と連結する薬物が多く、ATC(解剖治療化学)分類による類似薬物の強力で局所的なクラスター形成がみられた。このネットワークの位相幾何学的解析から、「後発」薬、すなわち既存の標的タンパク質を標的とする薬物の多さが定量的に示された。現在研究中の薬物を含めると、標的の機能が多様化し、多重薬理作用は向上する傾向が確認された。薬物標的と疾病遺伝子産物との関係を分析するため、ヒトインタラクトームネットワークの現行モデルで両タンパク質群の最短距離を測定した。原因治療薬と緩和薬との間にはこの距離に関して有意な差が認められた。最近の傾向として、合理性の高い薬物設計法が観察された。

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