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量子ドットの腎クリアランス

Nature Biotechnology 25, 10 doi: 10.1038/nbt1340

ナノテクノロジーという分野は、ヒトの疾病の診断および治療に関してきわめて有望である。しかしナノ粒子の多くは、サイズおよび電荷が原因となり、完全なナノ粒子として体外に効率的に排出されることがない。このようなクリアランス、または生物学的に無害な成分への生分解が行われない限り、毒性は増幅されるおそれがあり、放射線撮像も阻害される。本研究では、モデル系として齧歯類に静脈内投与した量子ドットを用い、金属含有無機ナノ粒子の腎濾過および尿排泄に必要な条件を詳細に明確化した。両性イオン性または中性の有機被覆は血清タンパク質の吸着を防いだが、それ以外の被覆では流体力学直径が15 nm以上膨大し、腎排泄が妨げられた。最終的な流体力学直径が5.5 nm未満である場合、迅速で効率的な尿排泄が行われ、量子ドットは体外に排出された。本研究は、生物医学的用途に役立つ生物向けナノ粒子の設計および開発の基礎となるものである。

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