Letter ポリメラーゼの分子育種による古いDNAの増幅 2007年8月1日 Nature Biotechnology 25, 8 doi: 10.1038/nbt1321 修復されない限りDNAには損傷が蓄積する。このため、古生物学、考古学または法医学が対象とする標本に残存しているDNAは損傷を免れない。本論文では損傷DNAから遺伝情報を回収する方法を紹介する。Thermus属のポリメラーゼ遺伝子(Taq (Thermus aquaticus)、Tth(Thermus thermophilus)、Tfl (Thermus flavus))の分子育種および区画化自己複製選抜法により、ミスマッチが1、2、さらには4塩基あっても伸長して変則的なプライマー−鋳型二重鎖を複製し、古いDNAにみられるヒダントインおよび脱塩基部位のような損傷を乗り越えることが可能なポリメラーゼが得られた。47,000〜60,000年前のホラアナグマDNAのPCR増幅に応用したところ、TaqDNAポリメラーゼの150%もの効率が認められ、Taqが機能しない低濃度試料からも増幅産物が得られた。この結果は、組換えポリメラーゼが更新世の標本から得られる遺伝情報を増大させ、古生物学、考古学および法医学での遺伝子分析に役立つ可能性があることを示している。 Full text PDF 目次へ戻る