Article ある輸送体の胚特異的サイレンシングがトウモロコシおよびダイズ種子のフィチン酸含量を低下させる 2007年8月1日 Nature Biotechnology 25, 8 doi: 10.1038/nbt1322 穀物および脂肪種子のフィチン酸は単胃動物に消化されにくく、動物栄養および環境に悪影響を及ぼす。しかし、フィチン酸を減少させて無機リン酸(Pi)を増加させる変異体の育種計画は、フィチン酸低減変異に伴って望ましくない農業形質が生ずるために進行が停滞している。本論文では、多剤耐性関連タンパク質(MRP)ATP結合カセット(ABC)輸送体が欠損したトウモロコシlpa1変異体を紹介する。この輸送体は胚で最も大量に発現するが、未成熟内乳、発芽種子、および栄養組織でも高発現する。この輸送体の発現を胚特異的に不活性化することにより、発芽が正常で種子乾燥重量がほとんど減少していない低フィチン酸、高Piの形質転換トウモロコシ種子が得られた。この優性形質転換法を用いれば、フィチン酸を減少させた雑種トウモロコシの作製を目的として劣性のlpa1変異を組み込むことが不要となる。ダイズでも相同MRP遺伝子の抑制で低フィチン酸種子が得られたことは、この方法が多くの作物で有効であることを示唆している。 Full text PDF 目次へ戻る