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バイオマス分解菌Trichoderma reesei(別名Hypocrea jecorina)のゲノム配列解読と解析

Nature Biotechnology 26, 5 doi: 10.1038/nbt1403

Trichoderma reeseiは、工業的なバイオマスの脱重合に使用されるセルラーゼおよびヘミセルラーゼの主要供給源であり、単糖に分解されたバイオマスは、化学中間体や、エタノールなどのバイオ燃料に変換される。我々は、配列骨格(順に並べられて方向付けされたコンティグ群)を89個組み立て、推定遺伝子モデル9,129個を含む34 Mbpのほぼ連続したT. reeseiゲノムの配列を得た。T. reeseiの糖質関連酵素の産業上の有用性および有効性を考えると、植物の細胞壁多糖類を加水分解する能力をもつほかの配列解読済み真菌と比較して、ゲノムにコードされたセルラーゼおよびヘミセルラーゼは意外なほど少ない。糖質関連酵素をコードするT. reeseiの遺伝子の多くは、他のSordariomycetesとのシンテニー領域の間でクラスター状に非無作為的に分布する。二次代謝産物の生合成経路をコードする数多くの遺伝子は、競合的な土壌環境中でT. reeseiの生存率を高めている可能性があるが、ゲノム解析からは、強力なタンパク質分泌の機序に関する手がかりがほとんど得られなかった。ゲノム配列データと合わせ、今回の解析からは、バイオ燃料生産をはじめとする産業上の応用性が強化されたT. reesei株を作り出すためのロードマップが得られる。

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