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複雑な微生物群集中の特定の機能型を標的とする高分解能メタゲノミクス

Nature Biotechnology 26, 9 doi: 10.1038/nbt.1488

生物圏に存在するほとんどの微生物は未だに培養することができない。環境中に存在するDNAの全ゲノムショットガン(WGS)シーケンシング(メタゲノミクス)を用いれば、自然界の微生物群集の遺伝的特性および代謝特性を研究することができる。しかし、きわめて複雑な微生物群集では、特定の微生物と特定の生態学的機能とをメタゲノミクスで結びつけることができない。この限界を打破するため、我々は安定同位体プローブ(SIP)でDNAを標識してからWGSシーケンシングを行うことによって微生物の亜集団を標的とする方法を開発した。米国シアトルのワシントン湖で採取した炭素数1の(C1)化合物を酸化する微生物のメタゲノム解析では、C1基質ごとに特定の配列が多くなることがわかり、個々の系統型の生態学的役割が明らかにされた。また、新規のメチロトローフ細菌Methylotenera mobilisのほぼ完全なゲノムを抽出し、その代謝を再構築して全ゲノム解析を行うことにより、我々のアプローチの有用性が示された。この高分解能で選択的なメタゲノミクス的方法は、さまざまな生態系に応用可能と考えられる。

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