Article 微小流体での親和性解析によるC型肝炎の標的および薬理学的阻害剤の発見 2008年9月1日 Nature Biotechnology 26, 9 doi: 10.1038/nbt.1490 ウイルス性肝炎の主な原因のひとつであるC型肝炎ウイルス(HCV)には、効果的な治療法が早急に求められている。我々は、in vitroでのタンパク質発現および微小流体での親和性解析により、HCVのRNA複製で重要な役割を果たしているHCVの膜貫通タンパク質NS4BによるRNAとの結合を研究した。本論文では、HCVのNS4BがRNAに結合すること、およびその結合がウイルスゲノムのマイナス鎖の3′末端に特異的であって解離定数(Kd)が約3.4 nMであることを示す。化合物ライブラリーの高処理能微小流体スクリーニングにより、NS4BによるRNAとの結合を強く阻害する化合物が18個同定された。そのひとつである塩酸クレミゾールは、培養細胞でHCVのRNA複製を阻害することがわかった。これはNS4BのRNAとの結合を抑制することによるものであり、宿主細胞への毒性がほとんど認められなかった。今回の結果からは、HCVの生活環に関する新たな知見がもたらされ、医薬品開発の候補化合物が得られた。 Full text PDF 目次へ戻る