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複雑な試料の末端アミンの同位体標識でタンパク質のN末端およびプロテアーゼ分解物を同定する

Nature Biotechnology 28, 3 doi: 10.1038/nbt.1611

タンパク質のN末端をプロテアーゼ分解物のN末端と区別するプロテオーム規模の効果的な方法があれば、プロテアーゼの特異性が広い場合または未知の場合の基質の同定が加速されると考えられる。基質末端アミン同位体標識法(TAILS)と命名した本論文の方法では、この問題に取り組むために、トリプシンペプチドおよびC末端ペプチドを除去する樹枝状ポリグリセロールアルデヒドポリマーを用いる。結合していないN末端に関して、タンパク質およびそのプロテアーゼ分解物中の自発的にアセチル化、環化したもの、または標識されたものをタンデム質量分析計で分析し、ペプチド同位体定量法を用いて、対象とするプロテアーゼの基質とバックグラウンドのタンパク質分解物とを識別した。マウスの線維芽細胞セクレトームでは、アセチル化N末端731個、環化N末端132個、およびマトリックスメタロプロテイナーゼ2(MMP-2)切断部位288か所が同定された。さらに、マウスの炎症性気管支肺胞液を分析し、特徴が明確にされていない乳がんプロテアーゼMMP-11のヒト乳がん細胞MCF-7での発現がエンドプラスミンおよび免疫調節物質でアポトーシス誘導物質であるガレクチン1の双方を切断することを示すことにより、複雑な試料のなかの特定の生物学的経路とプロテアーゼとを関連づけるこの方法の可能性が示された。

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