Article 腎障害分子1が前臨床バイオマーカー認定試験で従来の腎障害バイオマーカーを凌駕した 2010年5月1日 Nature Biotechnology 28, 5 doi: 10.1038/nbt.1623 腎毒性は、多数の新薬候補を断念する原因になるとともに、多くの患者の病状を悪化させている。動物の腎毒性では現在なお組織病理が最高の基準となっているが、ヒトの腎機能障害の監視では、血清クレアチニン(SCr)および血液尿素窒素(BUN)が第一の選択肢である。膜貫通型の尿細管タンパク質腎障害分子1(Kim-1)は、腎障害に反応して著明に誘導されることがすでに明らかにされている。SCrおよびBUNは感度および特異性が低いため、我々は、ラットを用いて毒性試験を行い、組織病理によって評点化された腎尿細管障害の予測因子として、尿中Kim-1の診断能を、BUN、 SCr、および尿中N-アセチル-β -D-グルコサミニダーゼ(NAG)と比較した。Kim-1は、複数の腎障害ラットモデルでSCr、BUN、および尿中 NAGに勝っていた。尿中Kim-1の測定により、ヒトの腎毒性は、前臨床の薬剤スクリーニングで高感度、特異的かつ正確に予測されると考えられる。これにより、腎毒性を有する化合物は早期に特定および排除されるはずである。 Full text PDF 目次へ戻る