Letter

2つの非ヒト霊長類動物モデル、カニクイザルおよび中国アカゲザルのゲノム塩基配列解読
および比較

Nature Biotechnology 29, 11 doi: 10.1038/nbt.1992

医学研究に最も多く用いられている非ヒト霊長類は、マカク属に属している。この動物モデルの間の遺伝的な差に関する理解を深めるため、本論文では、マカク属の2つの種、カニクイザルおよび中国アカゲザルから得た質の高いゲノム概要塩基配列を示す。過去に配列が解読されているインドアカゲザルとの比較で、3種のマカクザルがいずれも数百万の一塩基置換、ならびに多くの挿入、欠失、および大規模な染色体再配列など、豊富な遺伝子異質性を保持していることが明らかにされた。多様性が低い遺伝子領域を評価することにより、我々は、それぞれのマカク属の種に正の選択を受けたと考えられる遺伝子を発見した。遺伝的分岐のパターンは、カニクイザルのゲノムが、中国アカゲザルとの交雑後の遺伝子移入によって形成されてきたことを示唆している。マカク属の遺伝子には、ヒト疾患遺伝子のオーソログおよび薬物標的との高度な配列類似性が認められる。しかし、この3種のマカク種の間には、機能不全をもたらすと考えられる遺伝子の差が複数発見されており、これは臨床研究で過去に観察されたマカクザルどうしの機能的な差を説明する可能性がある。

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