Resources キナーゼの触媒活性に関する包括的アッセイで明らかにされるキナーゼ阻害剤の選択性の特徴 2011年11月1日 Nature Biotechnology 29, 11 doi: 10.1038/nbt.2017 低分子のタンパク質キナーゼ阻害剤は、細胞シグナル伝達経路の解析に広く使用されており、治療薬としても有望である。そのATP結合部位が進化の過程で保存されているため、この部位を標的とするキナーゼ阻害剤の多くは、複数のキナーゼを無差別に阻害してしまう。このような化合物を使用する実験の解釈は、多くの阻害剤の包括的なキナーゼ選択性に関するデータが存在しないために混乱している。今回我々は、機能アッセイにより、300種類の組み換えタンパク質キナーゼ群に対する178種類の市販のキナーゼ阻害剤の活性のプロファイルを明らかにした。定量解析の結果、タンパク質キナーゼとキナーゼ阻害剤との間には複雑でしばしば意外な相互作用が生じ、その無差別性の範囲が広いことが明らかにされた。非特異的な相互作用の多くが一見無関係なキナーゼとの間に見られたことから、特異的で多様なキナーゼの多重標的阻害剤が大規模プロファイル解析で発見されることがわかる。この結果は、薬剤開発に大きな意味をもつと同時に、キナーゼの機能を解明するための化合物の選択、およびキナーゼ阻害剤を用いる実験の結果の解釈を行うための手段となる。 Full text PDF 目次へ戻る