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雄の遺伝子組み換え蚊を用いた野外実験

Nature Biotechnology 29, 11 doi: 10.1038/nbt.2019

デング熱は、医学的に最も重大な節足動物媒介性のウイルス疾患であり、全世界で年間5,000万~1億例が報告されている。デング熱には、承認されているワクチンおよび専用の治療法が存在せず、最も有望な防除法には、主な媒介昆虫であるネッタイシマカ(Aedes aegypti)の標的化がある。しかし、これを行うための既存の方法は不完全である。遺伝子組み換え蚊を利用する方法としては、トランスジェニック不妊雄の放飼など、さまざまなものが提案されている。ただし、野性の雌との遭遇および交尾に関して、実験室で飼養した雄の遺伝子組み換え蚊が野生の雄と満足に競争する能力は、この戦略の成否のカギを握るにもかかわらず、いまだに検討されていない。本論文では、遺伝子組み換え蚊の1系統を使用した最初の野外実験のデータを明らかにする。我々は、10ヘクタールの面積に4週間にわたって放飼した雄の遺伝子組み換え蚊が、野性の雌との交尾および卵の授精に成功したことを示した。この知見は、ネッタイシマカの野外個体群を抑制することでデング熱を防除するこの方法の実現が可能であることを示唆している。

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