Computational Biology 遺伝子量抑圧的な遺伝子間相互作用ネットワークによる細胞の機能的接続図の改善 2011年6月1日 Nature Biotechnology 29, 6 doi: 10.1038/nbt.1855 遺伝子量抑圧とは、ある遺伝子の過剰生産によってほかの遺伝子の変異表現型を改善する遺伝子間相互作用である。遺伝子量抑圧では、遺伝子間の機能的関係がマッピングされることが知られているが、全体的な細胞機能がどれほど明らかにされるかは不明である。本論文では、遺伝子量抑圧因子と酵母の必須遺伝子437個とを結びつける相互作用ネットワークを分析した。424個の遺伝子に関しては、文献から相互作用のキュレーションを行った。遺伝子量抑圧的な相互作用の多くは機能的に関連する遺伝子の間で生ずるが、大部分はほかの種類の遺伝的または物理的相互作用と重複しないことが、分析で明らかにされた。このネットワークの特性の普遍性を確認するため、高コピー分子バーコード化オープンリーディングフレームライブラリーであるMoBY-ORF 2.0で形質転換した温度感受性変異細胞のプール集団から、29遺伝子の遺伝子量抑圧因子を実験で同定した。合計1,640組の相互作用の87%は一般的な4種類の抑圧メカニズムに分類され、その相対頻度に関する知見が得られた。本研究は、遺伝子量抑圧研究の結果をほかの相互作用ネットワークと組み合わせれば細胞の機能的接続図を解明する手がかりが得られる可能性があることを示唆している。 Full text PDF 目次へ戻る