Letter

高処理能塩基配列解読機を用いたDNA
親和性環境の直接測定

Nature Biotechnology 29, 7 doi: 10.1038/nbt.1882

DNA-タンパク質相互作用の特性評価に利用可能な方法は複数存在するが、いずれの方法でも高処理能で定量的な親和性測定は実現されていない。本論文では、前例のない深度でタンパク質-DNA結合親和性を定量的に測定する「高処理能塩基配列解読」-「蛍光リガンド相互作用プロファイル解析」(HiTS-FLIP)法を紹介する。この方法では、高処理能配列解読機に搭載した光学系によってフローセル中のタンパク質と配列が解読されたDNAとのin vitroでの結合を可視化する。酵母のアミノ酸飢餓応答のマスター調節因子であるタンパク質Gcn4(Gcn4p)にHiTS-FLIPを適用すると、結合測定値が約4億4,000万個得られ、
マイクロモル未満の親和性を持つ12-merの配列すべてに関して解離定数を明らかにすることができた。このデータは、モチーフ配置の間の複雑な相互依存性を明らかにし、in vivoでのGcn4pの結合部位および調節標的の識別を従来法比で改善させ、Gcn4pとのプロモーター親和性がさまざまな遺伝子セットがそれぞれ別個の機能および発現動態を持つことを示した。この方法を広く適用すれば、転写を生じさせる相互作用の理解が深まると考えられる。

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