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チャイニーズハムスター卵巣(CHO)K1細胞株のゲノム配列

Nature Biotechnology 29, 8 doi: 10.1038/nbt.1932

チャイニーズハムスター卵巣(CHO)由来の細胞株は、治療用タンパク質の生産に適した宿主細胞である。今回我々は、CHO-K1祖先細胞株のゲノム概要配列を明らかにした。それは2.45 Gbのゲノム配列であり、推定遺伝子を24,383個含む。組み立てた骨格の大部分は、微小流体工学的に分離された21本の染色体と関連づけられ、染色体上の遺伝子の位置が特定された。また、治療用タンパク質の品質に影響を及ぼす糖修飾に関与する遺伝子、ならびに細胞工学および規制上の問題に関わるウイルス感受性遺伝子も分析した。多くのヒト糖修飾関連遺伝子のホモログがCHO-K1ゲノム上に存在していたが、うち141個は指数増殖条件では発現しない。重要なウイルス侵入遺伝子もゲノム上に多数存在するが発現しておらず、そのことがCHO細胞株に見られる異例のウイルス耐性を説明している可能性がある。本論文では、このゲノム配列が明らかにされたことが、生物薬剤学的タンパク質生産を最適化するためのゲノム規模の研究を促進する可能性も考察する。

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