Perspective

定量的セクレトーム解析のための新規合成タンパク質の選択的濃縮

Nature Biotechnology 30, 10 doi: 10.1038/nbt.2356

分泌タンパク質は、細胞の情報伝達、接着、および移動に関与するタンパク質の大規模で生物学的に重要なサブセットを構成する。しかしセクレトームは、血清含有培地のバックグラウンドに対して量的に少ないタンパク質の検出に技術的限界があるため、研究が十分に行われていない。本論文では、培養細胞でクリックケミストリーとアミノ酸によるパルス安定同位体標識とを組み合わせ、分泌タンパク質を選択的に濃縮して定量する方法を紹介する。この2つの標識法を組み合わせることにより、バックグラウンドタンパク質の複雑さとは無関係に細胞を分析することが可能となる。我々は、各種細胞株および初代細胞に関して詳細で差次的なセクレトーム解析を行い、サイトカイン、ケモカイン、および増殖因子などの分泌因子を定量した。また、血清飢餓がセクレトーム組成に著明な影響を及ぼすことも明らかにした。さらに、マクロファージがリポ多糖に反応して行うタンパク質分泌の動態も分析した。

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