Perspective
HIVを標的とする相乗作用的な薬剤の組み合わせの系統的な発見
Nature Biotechnology 30, 11 doi: 10.1038/nbt.2391
薬剤の相互作用に関して組み合わせを大規模に探索することのできる方法が存在しないため、効果的な薬剤の組み合わせを系統的に発見する研究は進んでいなかった。本論文では、相互作用する化合物の多重スクリーニング法「MuSIC」を紹介する。これは、組み合わせた化合物の相互作用を高速で網羅的に評価する方法である。我々は、米国食品医薬品局(FDA)が承認した医薬品および臨床試験が行われた薬剤1,000種類から得られる約50万組の組み合わせを試験し、相乗的にHIVの複製を阻害する薬剤群を発見した。HIVに対して相乗作用を示す薬剤の組み合わせには、抗炎症薬が多いことが明らかになった。HIV感染には炎症が伴うことから、今回の知見は、炎症の阻害によってHIVの増殖が抑制される可能性を示している。各種グルココルチコイドやニタゾキサニド(NTZ)など、本研究で発見された複数の薬剤の組み合わせは、HIV生活環の異なる段階を標的とすることによって相乗作用を示す。MuSICは、疾患関連の薬剤選別に広く応用して化合物の組み合わせの効率的発見を促進することができる。