Perspective
温度調節性インテインを挿入したキシラナーゼを導入したトウモロコシによるリグノセルロース系バイオマス処理の強化
Nature Biotechnology 30, 11 doi: 10.1038/nbt.2402
植物セルロースバイオマスは、バイオ燃料および化学薬品の生産に用いられる豊富で廉価な原料である。植物原料に細胞壁分解(CWD)酵素(キシラナーゼなど)を発現させると、可溶性の糖類を生ずるバイオプロセスでの原料の前処理および加水分解に必要な酵素の量が削減される可能性がある。しかし、キシラナーゼを植物体内で発現させると、バイオマス収量および植物の生殖能力が低下する場合がある。この問題を克服するため、我々は、自己スプライシングする熱安定性の細菌インテインを含む熱安定性キシラナーゼ(XynB)を作製し、キシラナーゼ活性を制御した。選択したインテイン挿入XynB(iXynB)変異体は、活性が野生型酵素の10%未満であるが59℃超でインテインが自己スプライシングすると酵素活性が60%超に回復する。XynBを発現する温室栽培xynBトウモロコシは種子がしなびていて生殖能力が低いが、ixynBトウモロコシは種子も生殖能力も正常であった。温度制御によってキシラナーゼを活性化させて市販CWD酵素の混合物中で加水分解させることによって乾燥ixynBトウモロコシ茎葉を処理すると、理論収量の90%超のグルコースおよび63%超のキシロースが得られた。