Perspective

完全長RecEは直鎖間の相同組み換えを促進し、生物資源調査用の直接的クローン化を可能にする

Nature Biotechnology 30, 5 doi: 10.1038/nbt.2183

ゲノム配列の機能解析には、目的のDNAをクローン化する方法が必要である。しかし、ライブラリーのクローン化およびスクリーニングなどの既存の方法は、超並列塩基配列解読法で得られる大量のゲノムデータへの高処理能用途には、能力不足であったり非効率であったりする。本論文では、完全長のRacプロファージタンパク質RecEおよびそのパートナータンパク質RecTが、ラムダファージのRedαβまたは短縮型のRecETが介在する従来の組み換え工学的方法とは機構の異なるきわめて効率的な直鎖間相同組み換えを仲介する、という発見に基づく直接的なDNAクローン化法を紹介する。我々は、Photorhabdus luminescensから全10個のメガ合成酵素遺伝子クラスター(長さは各10~52 kb)を発現ベクターに直接クローン化し、そのうち2個を異種宿主で発現させて、代謝物であるルミンマイシンAおよびルミンミドA/Bを同定した。またcDNAを直接クローン化し、細菌人工染色体に由来する部分を正確に特定した。完全長RecEによる直接的クローン化は、DNA工学の引き出しを充実させ、天然物を対象とする生物資源調査を加速すると考えられる。

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