Computational Biology ヒトがんの体細胞性DNA変化の絶対定量 2012年5月1日 Nature Biotechnology 30, 5 doi: 10.1038/nbt.2203 本論文では、腫瘍の純度および悪性細胞の倍数性を体細胞性DNA変化の分析から直接推定するコンピューター解析法、ABSOLUTEを紹介する。この方法では、サブクローンの不均質性および体細胞のホモ接合性を検出し、特定の異常を検出するための統計的感度を計算することができる。我々は、ABSOLUTEを用いて卵巣がんの腫瘍-正常検体214対から得たエキソームの配列解読データを分析した。この分析により、広汎なサブクローン性の体細胞点変異およびクローン性のホモ接合変異が大半を占める小サブセットの両方が同定され、後者は腫瘍抑制遺伝子のTP53およびNF1とともに腫瘍抑制遺伝子候補のCDK12でもきわめて多く見られた。また、ABSOLUTEにより、がん検体3,155点から対立遺伝子の絶対コピー数プロファイルを推定し、ヒトのがんではゲノム倍加現象が一般的であること、その現象はすでに異数体となっている細胞で生ずる可能性が高いこと、さらにはそれが(ゲノム倍加後には多くないNF1の劣性不活性化などによって)腫瘍進行経路に影響することも明らかにした。ABSOLUTEは臨床的な配列解読試験の設計とともに、がんゲノムの進化および腫瘍内不均質性の研究にも有用と考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る