Perspective

RNA配列解読による転写物の分解能での遺伝子調節の差次的解析

Nature Biotechnology 31, 1 doi: 10.1038/nbt.2450

遺伝子および転写物の発現に関する高処理能RNA配列解読法(RNA-seq)を用いた差次的解析は、測定のばらつきをもたらす複数の原因によって複雑になり、統計上の問題を数多く引き起こしている。本論文では、発現を転写物レベルの分解能で推定し、複製物ライブラリーに認められるばらつきを調整するアルゴリズム「Cuffdiff 2」を紹介する。Cuffdiff 2は、差次的に発現した転写物および遺伝子を確実に同定し、差次的なスプライシングおよびプロモーター選択性の変化を明らかにした。我々はこの方法の精度を確認するため、発生時に働く転写因子HOXA1の欠失に対して肺線維芽細胞の差次的解析を行い、HOXA1が肺線維芽細胞およびHeLa細胞の細胞周期の進行に必要であることを明らかにした。HOXA1の欠失により、細胞周期の主要な調節因子にはアイソフォームの切り替えが生じ、数千個の転写物の発現レベルに有意な変化が生じた。Cuffdiff 2は、転写物の分解能でのRNA配列解読実験で確実な差次的解析を行い、ほかの高処理能技術では容易に識別することができない調節段階の存在を明らかにした。

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