Computational Biology

電子的医療記録データの全フェノーム関連解析と全ゲノム関連解析データとの系統的比較

Nature Biotechnology 31, 12 doi: 10.1038/nbt.2749

ヒト疾患のリスクを調節する遺伝的変異は候補遺伝子や全ゲノム関連解析(GWAS)によって発見されてきたが、そうした関連性の多くは結果の再現に一層の研究が必要である。本論文で紹介するのは、電子的医療記録(EMR)に全フェノーム関連解析(PheWAS)のパラダイムを初めて大規模に応用し、再現および発見によって標的遺伝子型と多数の表現型との関係を明らかにする不偏的な方法である。我々はヨーロッパ系個人1万3835例の一塩基多型3144か所(これまでにGWASによってヒトの形質の媒体に関係があるとされているもの)とEMR由来の表現型1358種類の関連性をスキャンした。このPheWASは検出力が十分な既知のGWAS関連性の66%(51/77)を再現し、63種類の潜在的に多面発現性の関連をP < 4.6 × 10-6(偽陽性率 < 0.1)で明らかにした。この新たな関連のうち最も強力なものは独立コホート(n = 7406)で再現された。今回の知見から、ツールとしてのPheWASがEMRに基づくコホートでの多数の表現型の不偏的な調査を可能とし、ヒト疾患の遺伝的基盤の解析を強化することが確認された。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度